書評
評・小泉今日子(女優) 思春期の頃、母親の存在を疎ましく思った。初めて恋をした頃だった。恋するという感情が
評・河合香織(ノンフィクション作家) ここに描かれているのは、どこにでもある恋愛であり失恋である。中国残留孤児である父の半生を描いた第1作でデビューした著者の4年半ぶりの第2作は、20代に経験した自らの恋についてのノンフィクションだ。つづられる物語は、舞台こそ中国、ラオス、ベトナム、日本をまたぐが、文化や国の違いはそれほど大きな波を起こさず、むしろ普遍的なほどにもどかしい感情に終始する。「恋愛強者」ではない、そんな“普通”の恋を400ページ近い分量で描き切っているところにこの本の価値はある。 (11月28日)[全文へ]
評・野家啓一(科学哲学者・東北大教授) この宇宙には目に見えない数学的秩序が存在する。このように信じているとすれば、私たちはまぎれもなくピュタゴラスの
評・椹木野衣(美術批評家・多摩美大教授) 本書には、音楽家である著者の手で構成・台本・作曲された同名の作品(二○一一年)が収められている。全体は三十六の断片からなり、カフカが
評・細谷雄一(国際政治学者・慶応大教授) 日中国交正常化四十周年を前にして、日中関係の緊密化が重要な政治課題となっている。しかしながら両国間の関係はどこかぎこちなく、また国民感情は相互に不信感を示している。いったい問題の本質は何なのだろうか。それを理解する一つの手がかりは、日中関係の「基層」ともいえる近代日本の中国認識の歴史を
評・前田耕作(アジア文化史家・和光大名誉教授) コンスタンとは一体なにものなのか。ロマン主義文学の先駆シャトーブリアンと同時代の人で、社交界の輝く知性であったスタール夫人の恋人といった方が
評・湯本香樹実(作家) 作曲家ジョン・ケージは大のきのこ好きで、イタリアのテレビのクイズ番組に出演、数週間きのこについて答え続けた末、見事五〇〇万リラの賞金を獲得した……! (11月28日)[全文へ]
評・松山 巖(評論家・作家) 本編を読了し、先日亡くなった土屋隆夫をつい思い出した。彼はミステリーを愛し、だからこそ文章に心を砕き続けた推理作家だった。本編は土屋の作風とは異なるが、謎解きの面白さを備えながらもその実、読後に強く響くのは、全編に
評・山内昌之(歴史学者・東京大教授) 中東・北アフリカ(MENA)の長期独裁体制の崩壊が相次ぎ、民主化の行方が注目されている現在、MENAの動向を占う上でいちばん堅実な見方を示す書物が出版された。 (11月21日)[全文へ]
評・三浦佑之(古代文学研究者・立正大教授) 早い時間にどこも人けがなくなって寂しいねえ、先日乗ったタクシーの運転手さんがぼやいていた。 (11月21日)[全文へ]
評・河合香織(ノンフィクション作家) 10月に西シベリアで行われた雪男に関する国際会議は、同地で雪男が生息する可能性は95パーセントと発表した。 (11月14日)[全文へ]
評・椹木野衣(美術批評家・多摩美大教授) 幾多のメディアに囲まれて暮らしている以上、著作権ほど我々の生活に密着した問題もないはずだ。 (11月14日)[全文へ]
評・蜂飼 耳(詩人) アウシュヴィッツ強制収容所から生還したイタリアの作家・化学者プリーモ・レーヴィ。本書は、日本ではじめての評伝だ。 (11月14日)[全文へ]
評・松山 巖(評論家・作家) 人を
短評
- 『蔵のお伊勢参り』 蔵真墨写真集 (11月28日)
- 『全貌フレデリック・ワイズマン』 土本典昭・鈴木一誌編 (11月28日)
- 『BANG! BANG! BANG!』 朝比奈あすか著 (11月28日)
- 『グリム』 中里和人写真集 (11月21日)
- 『ピアニストの系譜』 真嶋雄大著 (11月21日)
- 『くらべる鉄道』 川辺謙一著 (11月21日)
- 『MAGNUM CONTACT SHEETS』 クリステン・リュッベン編 (11月14日)
- 『恋する「小倉百人一首」』 阿刀田高著 (11月14日)
- 『ルーヴルはやまわり』 有地京子著 (11月14日)
- 『オヤジギャグ200連発』 オヤジギャグ研究会編 (11月7日)