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アニヤ・ハインドマーチ

機能美 時々ユーモア

 「バッグを持った時の楽しい気分を大切にしたい」

 イギリスのバッグデザイナー、アニヤ・ハインドマーチさんは、こんな思いを製品に込めている。機能性に加え、時にユーモアをさりげなく感じさせるバッグや雑貨で、日本の女性たちにも人気だ。

 デザインの決め手は「自分が欲しいかどうか」。バッグの重さやポケット、肩ひもの長さなど、細部のチェックを欠かさない。

 16歳の時、母親からバッグを譲り受けた。使い込んだ黒革のグッチ。「持ってみたら、急に大人になった気分だった」。その思いが「バッグを作りたい」という夢に変わった。1986年、18歳でイタリア・フィレンツェに行き、バッグを作り始めた。それをイギリスの雑誌を通じて販売したのがキャリアの始まりだった。

 自分の好きな写真などを印刷した「ビー・ア・バッグ」や、イギリスのスーパーや環境団体と組んで作った買い物バッグ「I’m NOT A plastic bag(私はプラスチック製のバッグではありません)」など、彼女らしい製品はブームを巻き起こしたほどだ。

 楽しさや工夫は製品だけではない。今年9月にロンドンで行われた2012年春夏の展示会で会場に選んだのは、使われていない地下鉄の駅。キオスク風に商品を並べるなど、ユーモアもたっぷり。

 09年、ロンドンにビスポーク(あつらえ)専門の店を開いた。母からもらったバッグの感触を思い出し、「革という原点にかえった」。熟練職人の工房を併設。客は革を選び、メッセージを刻むこともできる。

 「長く大切に使ってもらえる製品を作っていきたい」

 妻であり、5人の子どもの母親として多忙な毎日を送る。親日家で、年に2回は来日。東日本大震災直後にも来日し、展示会場で募金活動を行った。

 笑顔を絶やさず、時に早口で楽しそうに仕事や家族を語る。こんな温かい人柄が、女性たちの気分を高揚させるバッグを生み出している。(ロンドンで、編集委員 宮智泉)

2011年12月21日  読売新聞)

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