ムール貝 ノルマンディー風私がムール貝を知ったのは40年前のパリ。大きなたるからムール貝をスコップのようなものですくって新聞紙に包んでくれるのだが、販売の最低単位は500グラム。安かったのでよく食べた。貧しいパリ生活を救ってくれた食材のひとつである。作っていたのはベルギー料理であるムール貝の白ワイン蒸し。 食堂では小型のバケツのような大きさの器に入れられて、山盛りのフライドポテトと一緒に登場する。貝の身を食べスープを飲み、ポテトを食べる。なんともおいしい料理だった。 先日、魚売り場でムール貝を見かけたとき、生クリームを加えてノルマンディー風に仕上げ、フライドポテトとともに食べることにした。 ムール貝の汚れをこすり取って洗う。大鍋にバター、タマネギとニンニクのみじん切り、白ワインを入れて煮立たせる。ムール貝を加えてフタをし、殻が開くまで弱火にかける。生クリームを加え(加えなければベルギー風になる)、塩、コショウで味付けして温める。パセリのみじん切りを散らす。大皿に盛りつけて食卓へ。 タマネギから出たほのかな甘み、白ワインのうま味、ムール貝の磯の香り、生クリームのトロリとした口当たり……ベルギー風もおいしいが、生クリームをプラスしたこれは、より濃厚でご おいしかったのだが反省点がひとつ。フライドポテトの量がパリの食堂で食べる3分の1以下しかなかったのだ。ムール貝とフライドポテトはベストカップル。大量のフライドポテトがあったほうがこの料理は生きる。貝の身とスープとポテトを順序よく食べることをお勧めする。 技いらずの料理ではあるが、押し出しと味は抜群。楽しい食卓になること請け合いである。(イラストレーター、絵も) (2011年12月24日 読売新聞)
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