矢野顕子、「yanokami」終わらない
新作共同制作 レイ・ハラカミ急逝
シンガー・ソングライターの矢野顕子が、電子音楽家のレイ・ハラカミと組んだ「yanokami」として「遠くは近い」(ヤマハ)を出した。
ハラカミが急逝し、2作目にして最終作となったが、矢野は「ハラカミさんは最後の作品だと思って作ったわけじゃない。純粋に音楽を聴いてほしい」と話している。
2人の交流は矢野がハラカミの才能を見初めた2003年から始まり、07年にデビュー作を出した。今作は2年前から制作を進めてきたが、8割まで進んだ7月下旬、ハラカミが脳出血で急死した。矢野は訃報を聞いた場で、予定されていた夏の音楽フェスに一人で出ることを決めたという。「女はうろたえつつも、夕食のことを考えなきゃいけないから」
オリジナル曲「Don’t Speculate」は、東日本大震災で気落ちしていたハラカミを、「バカみたい こんなことで泣くなんて」「強い力 持ってこいよ」と、矢野流に励ました歌詞が印象的だ。温かみのある電子音と、つややかなピアノ、無邪気な矢野の歌唱が溶け合う。荒井由実の「曇り空」「瞳を閉じて」、オフコースの「Yes Yes Yes」などの名曲も、yanokami流に解体されている。歌詞でかろうじて原曲がわかる部分もあるほどだが、「矢野顕子が作るものなんだから」と意に介さない。
制作は、ハラカミが最初に電子音の伴奏を作り、矢野にデータが渡されるが、構成の説明などは一切なし。「譜面もないですし、コードは一体何なのか、どこからどう歌を乗せていけばいいのか、ということを解析していくのが一番大変。こうくるか、じゃあこうします、あーやられたとか、果たし合いのような感じ」
今年は、ジャズピアニスト上原ひろみとの共演のライブ盤をユニバーサルから出したり、映画「監督失格」の音楽を手がけたりと精力的に活動した。「私とひろみちゃんでしかできないこと」「映画がなければ生まれなかった曲」と、才能と才能のぶつかり合いが生み出す融合にこだわってきた。ハラカミの死でまたとない融合の場が消えるが、「yanokami、レイ・ハラカミの音楽を絶やしたくない。何かの形で続けていきたい」と、決意している。(清川仁)
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