東京の男が面白い
メンズファッションは、トウキョウが一番面白い――。
そう答える服飾関係者は多い。10月に行われた2012年春夏東京コレクションを取材した英国の人気ブロガーも、「東コレのデザイナーは、ミラノやパリと違ってトレンドより自分のやりたいことや美意識を追求していて刺激的。だから面白い」と話していた。
細やかな手作業や素材へのこだわり、そして日本の伝統を取り入れた意匠なども、外国人には新鮮に映るのだろう。
例えば、「フェノメノン」の新作ジャケット。青と白の階調が美しい両袖は、輪にした色違いのファスナーをつないで作った。細部の過剰なデザインが服を斬新に見せる。
「ヨシオクボ」によるジャカード織りのジャケットは、横糸の一部を抜き取り、残った縦糸が浮き上がるように細工して軽快な雰囲気に。手の込んだ工夫をさりげなく組み入れるのも「東京流」だろう。
軽量な素材で着やすさを追求したのは「モルフィック」。無駄のないシンプルなシルエットでシックな雰囲気にまとめた。「ファセッタズム」は多彩なしま模様を組み合わせ、スタイリングの妙も表現した。
ほかにもジャージー素材のパンツなどでリラックス感を演出した「アトウ」や、トラッドスタイルをアニメのようなかわいらしい雰囲気で表現した「ネ・ネット」など、多種多様なメンズファッションが東コレにはそろっている。
流行ではなく、自分らしさを大切にして服を着る時代。だからこそ、型にはまらず進取に富んだ「東京発メンズ」が注目されるのだろう。(生活情報部 竹之内知宣 撮影・岩波友紀)