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気持ちが伝わる感動を

世界35か国に普及会話補助ソフト考案者 久保由美(くぼ・ゆみ)さん

ソフト開発会社「スペクトラム・ビジョンズ・グローバル」のCEO。発達に遅れを持つ子どもやその家族のためのソーシャルグループを作り支援活動も行う。

 会話で自分の感情を表現することが苦手な子どもたちが、携帯電話や携帯端末を使って、気持ちを表すことができる会話補助ソフト「Voice4u(ボイス・フォー・ユー)」を開発、2年前の発売以来、世界35か国で利用されている。

 「こんにちは」「うれしい」など日常生活でよく使う157種類の表現のアイコンがあり、指で画面に触れると音声が流れて相手に伝わる仕組みだ。写真やイラスト、文書を独自に入れることもできる。

 専業主婦だった1989年に夫の仕事の都合で渡米。間もなく当時1歳だった長男が自閉症であることが分かった。医師から「一生、話ができないかもしれない」と言われ、何とか長男とコミュニケーションを取ろうと模索した。

 転機は渡米して17年後に訪れた。アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」を手にした時、「この中に息子との会話を補助するソフトが入れば、いつでもどこでも子どもの気持ちを聞けるのではないか」と思いつき、起業して本格的にソフトを開発することを決めた。

 当時、使っていた会話補助機材は高価なうえ、重くて持ち歩きに不便だった。しかも外出時には、携帯しながら子どもの気持ちを聞くのは容易ではなかった。「自分と同じ境遇の親も多いのでは」という思いも起業を後押しした。

 3年前、ソフト開発会社を米カリフォルニア州サンノゼに設立。最高経営責任者(CEO)としてエンジニアと開発を進めた。精神科医ら専門家の意見も取り入れ、使いやすさを追求。思いを形にした。久保さんは、現在も家族と米国在住。「発達に遅れを持つ人やその家族のライフスタイルをテクノロジーで支援したい」と語る。

◆「Voice4u(ボイス・フォー・ユー)」のホームページは、こちら

2011年12月5日  読売新聞)

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