9枠争奪 40校激走
15日に予選会
第88回東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日・東京大手町読売新聞旧東京本社=建て替え中=前〜神奈川県箱根町芦ノ湖駐車場入り口往復)の予選会が15日、東京都立川市の陸上自衛隊立川駐屯地から国営昭和記念公園までの20キロのコースで行われる。40チームが午前9時半にスタート。本大会に出場できる9枠を巡って激戦を展開する。注目チーム、選手を紹介する。
痛恨の3秒取り戻す…城西大
前回大会で10位と3秒差の11位に終わり、シード権を逃した城西大。その悔しさを胸に、2年ぶりの予選会に出場する。
前回は10区で日体大、青学大、国学院大との計4校によるデッドヒートとなり、国学院大の選手がコースを間違えるというハプニングがありながら、その国学院大の選手にも逆転されて競り負けた。
主将の田村
主将が痛感したのは、こういうことだ。「往路が終わった時点で7番だったので、『大丈夫だろう』と安心しきっていた部分があった。(箱根駅伝は)そんなに甘い試合ではない」。そうした反省から、朝練習やジョギングなどの軽い練習でも、しっかりと最後まで走りきる意識付けを部員全員が心がけて来た。
今季は山口浩勢(2年)が日本学生対校選手権の3000メートル障害を制するなど、個々の力も着実に伸びてきている。予選会の経験者が少ないという不安点はあるが、櫛部静二監督は「予選会とは言ってもレースなので、トップ通過を目指す」と、選手たちの力を信頼している。
田村主将は「厳しい戦いになると思うが、緊張感と危機感を持ってやっている。予選会の厳しさを知ることで、それが本戦にも生きると思う」と意気込む。城西大にとっては、痛恨の3秒を取り戻すためのレースだ。
双子の市田兄弟加入…大東大
2年ぶりの本大会出場を目指す大東大に、頼もしい双子の新人が加入した。昨年の全国高校駅伝で優勝した鹿児島実から、エース区間の1区(10キロ)で2位だった市田孝、6区(5キロ)で区間賞を獲得した市田宏の兄弟だ。高校時代に輝かしい成績を収めた2人が、復活を期すチームに活力を与えている。
今季前半は新生活に慣れるのに時間がかかったが、夏合宿で走り込んで徐々に調子を上げてきた。宏は9月の日本学生対校選手権1万メートルで8位に入賞し、「自分の力を試せて良かった」と笑顔を見せた。同大会には出場せず、走り込みを優先した孝も「いい練習ができているので、手応えはある」と充実した表情を浮かべる。
奈良修監督によると、「まったく性格は違って、兄が引っ張って、弟がついていくタイプ。そういう関係で、ビックリするほど仲がいい」。お互いに刺激し合って、力を付けていく姿は、他の部員にも好影響を与えている。奈良監督は「(2人の加入で)今まで眠っていた先輩たちにも、夏合宿でいいものが見えてきた」と、チームへの効果を認める。
初めての予選会に向けて、孝は「目標はいつも高く持っている。日本人の中で、宏とワン・ツー」と語り、留学生をのぞいた中での1、2位独占を目指すことを誓った。走り自体も、孝は前半から積極的に行き、宏は後半型とタイプが違うという。兄弟がどんな走りを見せるのか、駅伝ファンの注目が集まりそうだ。
名伯楽迎え 復活狙う…日大
前回の箱根駅伝では屈辱の最下位に沈んだ日大が、新しい指揮官を迎えて雪辱戦に挑む。
鈴木
就任したばかりのころのチームを、鈴木ヘッドコーチは「走ることに対して執着心が欠落し、戦う集団ではなかった」と振り返る。合同練習に出てこない選手がいるなどという状況を、徐々に改善させていった。
鈴木ヘッドコーチの指導法は、標高が高い場所やクロスカントリーコースでの豊富な走り込みが特徴だ。主将の堂本尚寛(4年)は「距離に対する不安はない。1、2年生もしっかり力をつけてきてくれて、夏合宿はいい手応えがあった」と自信を深めている。
5月の関東学生対校選手権では、田村
堂本は「予選会は『どれだけ戦えるか』という実験でもあるので、やはり上位で通過することが目標。それが出来なければ本大会でも戦えないと思うし、トップ通過を目指す」と意気込む。総合優勝12回を誇る名門が、この予選会を復活への第一歩とするつもりだ。
「世界」につながった予選会 川内優輝(埼玉県庁)
学習院大時代、4度予選会に出場した男子マラソンの川内優輝(24)(埼玉県庁)に、予選会の思い出を聞いた。
今年8〜9月に韓国・
大学に入った時は、無名のランナー。「予選会ではトップ選手と一緒に公式戦で走れる。学習院を含めて多くの大学の長距離選手にとって、予選会が1年の中で一番の目標だった」。強豪校のトップ選手に挑戦することで自信を得ていった。
予選会には、自分の力だけで出られるわけではない。資格記録(大会ごとに変更され、今大会は5000メートルで16分30秒以内、もしくは1万メートルで34分以内)を持つ選手を10人以上そろえなければならない。「いつも最後の1人がなかなか切れなくて、相当苦しかった」と苦笑いする。
上級生になってからは、記録会でペースメーカーを務め、10人目の選手を引っ張った。3、4回の挑戦で、ようやく10人そろい、「よっしゃ、予選会に出られるぞ」と、その選手を胴上げしたのも良い思い出だ。「出られないと、みんなが最大の目標にしているものがなくなってしまう。ある意味では、強豪校以上に思い入れは強かった」と振り返る。
2年生で学習院大初の本大会出場を果たし、山下りの6区で区間6位。だが、3年生の時には注目された重圧から、全選手が一斉に走る予選会で172位に沈んだ。4年生の時には立ち直り、本大会の6区で区間3位の好成績を残した。大学卒業後も「市民ランナー」として競技を続け、日本代表にまでなった24歳は「予選会を4度経験して、考え、悩むこともあった。あの経験が、今回の世界選手権にもつながった」と振り返る。
■国営昭和記念公園 大会に合わせて午前7時半から立川口、西立川口、砂川口の入り口3か所を開く。立川口はJR中央線・立川駅から徒歩15分、多摩都市モノレール・立川北駅から同13分。西立川口は、JR青梅線・西立川駅から同2分。スタート地点の陸上自衛隊立川駐屯地へは、園内を経由して入場できる。立川口から同15〜20分。入園料は大人400円、小、中学生80円、65歳以上200円。再入場はできない。周辺道路では、選手の通過時に交通規制が行われる。
■合計タイムまず6校 第88回大会への出場枠は「9」。各チームは10人以上14人以内をエントリーし、出場できるのは10人以上12人以内。上位10人の合計タイムでまず6校を選ぶ。残り3校は、関東学生対校選手権の成績によって与えられたインカレポイントをタイム換算し、それを合計タイムから差し引いた記録の上位3校を選ぶ。このほか、出場権を得られなかった大学の予選会上位者を中心に関東学連選抜が編成される。
前回大会の10位以上にはシード権が与えられ、早大、東洋大、駒大、東海大、明大、中大、拓大、日体大、青学大、国学院大が既に出場を決めている。
◆予選会のテレビ放映 地上波(日本テレビ系)は15日午後3時30分〜4時55分に放送予定。CS(G+)は15日午前9時15分〜12時に生中継。
城西大 | (2分45秒) |
山梨学院大 | (2分40秒) |
帝京大 | (55秒) |
東農大 | (1分50秒) |
神奈川大 | (30秒) |
中央学院大 | (45秒) |
専大 | (20秒) |
上武大 | (2分20秒) |
日大 | (3分40秒) |
法大 | (3分10秒) |
大東大 | (2分20秒) |
亜大 | (20秒) |
順大 | (3分25秒) |
国士大 | (3分30秒) |
松蔭大 | (10秒) |
創価大 | (1分05秒) |
流経大 | (2分00秒) |
平成国際大 | (1分55秒) |
麗沢大 | (10秒) |
関東学院大 | (10秒) |
武蔵野学院大 | (0秒) |
東京経済大 | (35秒) |
慶大 | (2分55秒) |
東大 | (20秒) |
東京学芸大 | (2分15秒) |
立大 | (1分35秒) |
学習院大 | (0秒) |
国際武道大 | (2分35秒) |
筑波大 | (3分45秒) |
東京理科大 | (20秒) |
横浜国立大 | (1分55秒) |
筑波大大学院 | (10秒) |
千葉大 | (20秒) |
防衛大学校 | (0秒) |
駿河台大 | (1分15秒) |
文教大 | (0秒) |
明治学院大 | (10秒) |
高崎経済大 | (0秒) |
首都大東京 | (25秒) |
山梨大 | (20秒) |
カッコ内はインカレポイントで減算される時間 |
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