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有力5チーム 監督の意気込み

監督トークバトル

いよいよ号砲 天下の険 疾走


早大・渡辺康幸監督 1973年生まれ。千葉・市立船橋高から早大。箱根駅伝に4年連続出場し区間賞3度。2004年に監督就任。

東洋大・酒井俊幸監督 1976年生まれ。福島・学法石川高から東洋大。箱根駅伝に3年連続出場。2009年監督に就任し、1年目で優勝。

駒大・大八木弘明監督 1958年生まれ。福島・会津工高から社会人を経て駒大。箱根駅伝は2度区間賞。コーチ、監督として6度優勝。

東海大・両角速監督 1966年生まれ。長野・東海大三高から東海大。箱根駅伝に4年連続出場。長野・佐久長聖高を強豪に育て上げ、2011年東海大監督に。

明大・西弘美監督 1952年生まれ。福岡・飯塚商高から社会人を経て日大。箱根駅伝は4年連続出場。2001年に明大コーチ、04年から監督。

 第88回東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日)に出場する有力チームの監督が語り合う「第88回箱根駅伝トークバトル」が10日、東京・恵比寿ガーデンプレイスで開かれた。今大会の3強と言われる早大、東洋大、駒大と、それを脅かす東海大、明大の各監督がそれぞれの戦略や意気込みを披露した。

 ――今大会の目標順位は。早大・渡辺監督の答えは「優勝したいなら減量しろ!」。

 渡辺 優勝したいなら、胴上げを軽くできるように、例年通り減量した方がいいかなと。昨年度は15キロやせたけど、そこから5キロリバウンドした。妻からも、あと3、4キロやせないといけないと厳しい言葉をかけられている。

 ――つまり連覇。東洋大は「総合優勝」。

 酒井 前回は3連覇を目標にしながら、早大に21秒負けた。選手たちはこの1年間、雪辱を期すことだけを目標にやってきた。往路4連覇を達成して、総合優勝したい。

 大後 5区に素晴らしい選手がいる。柏原竜二君(4年)はこれが4回目の5区だ。

 ――駒大は「2位以内」。

 大八木 前回が3番だったので、一つでも上にいきたい。若干謙虚に。毎年私は3位以内という気持ちでやっていたけれど、選手たちがそれじゃ納得いかないだろうと思って、2位以内。

 ――東海大は「4」。

 両角 冷静に戦力を分析すると、やっぱり(上の)三つとの溝が深いなと思っている。箱根、出雲、全日本と見ても、上位3校には揺るぎがない。それ以下でトップになりたい。

 ――明大は「3位以内」。

 西 うちは特別なエースもいないし、小粒ぞろい。大砲がいない分、総合で3位以内を目指したい。

 ――3大学が強いと言われているが。

 西 何とかその牙城を崩したい。その近いところが、早稲田じゃないかなと思う。

 渡辺 いや、多分そうだと思う。

 ――東洋大、駒大は。

 西 いや、絶対かなわない。

 ――明大のエントリー16人は。

 西 1年6人、2年4人、3、4年が3人ずつ。非常にバランスがとれている。1年生は6人全員期待しているが、特に最近いいのは、大六野秀畝(だいろくのしゅうほ)。故障していた八木沢元樹(げんき)も、ここに来て、非常にいい感じになってきた。

 ――東海大は4年生が6人、3年生4人、2年生2人、1年生4人。

 両角 村沢明伸と早川翼(いずれも3年)、そして今年の箱根の3区で3位だった元村大地(2年)。この軸となる3人を往路に入れて、前半いい戦いをしたい。

 ――駒大の16人は。

 大八木 うちはこれしかないベストメンバー。東洋さんの5区を頭に入れて戦わなくちゃいけないので、久々に往路にいい選手をそろえて4区まではどうしてもリードしないと。

 ――1年生を3人エントリーした。

 大八木 村山謙太、中村匠吾は全日本でも走れている。猪浦舜もしっかり上がってきてくれた。16人に入ることが次回以降にもつながる。

 ――東洋大は4年生が7人。実績ある選手もいるし経験者が多い。

 酒井 設楽(啓太、悠太)兄弟(2年)は出雲、全日本ともに走っているが、フレッシュなメンバーも結構いる。

 ――東洋大を意識して、前半から飛ばすチームにどう対抗する。

東洋大・酒井 柏原の負担減らす

 酒井 これまで柏原にはかなり負担をかけてきたので、できるなら4区までの差を最小にしたいし、4区で先頭に立っていれば、なお理想的。前回、早大に負けた大きな敗因は、序盤からの出遅れだった。今回、新しい東洋大のスタイルを作るのもいい。


コーディネーター大後栄治・関東学生陸上競技連盟駅伝対策委員長。神奈川大監督。箱根駅伝で優勝2度。司会村山喜彦・日本テレビアナウンサー

 ――前回優勝の早大は。

早大・渡辺 八木復帰連覇狙う

 渡辺 これがベストメンバー。やっと八木勇樹(4年)が戻ってきて、スタートラインに立てる。西脇工出身の志方文典(2年)と八木がいる、いないで、全く違うチームになる。そういう意味では大きい。

 ――どういう戦略を。

 渡辺 東洋大の柏原君が山登りにいることから逃げられない。怪獣というか、神童というか。そういう選手とあと1年戦えるということをプラスに考えている。最終的に順番を決めるのは、全部の集中練習が終わった後の選手の体調を見てから。前回も12月27日に大迫傑(2年)の1区を決めた。

 ――区間の並びは、直前までかなり迷うものか。

 大後 最後の最後、12月31日まで本当に迷う。イメージ通り、すんなりいかないのが区間配置。最後の最後に(頭の中に)ぽーんと降りてくる。

 ――今回のテーマは「高速レースへ挑む」。前回、早大、東洋大が大会記録を上回り、早大は217・9キロの長さになって、初めて11時間を切った。

 大後 特殊区間の山登りの5区、山下りの6区を除くと、前回の早大は平らなところを1キロ3分1秒ぐらいで走っている。ペースは年々上がっていて、第40回大会は大体3分15秒ぐらいで優勝。それが3分10秒になり、73、74回に神奈川大学が優勝した時は、3分5〜8秒ぐらい。ここ10年間は、限りなく3分に近づいてきていた。

 ――11時間を切るタイムは、想定していたのか。

 渡辺 全く想定外。(第76回大会の)駒大の大会記録、11時間3分ぐらいじゃないかなと見ていた。競り合ったことと気象条件がすごくよかった。

 ――気象条件が似ている84回大会と前回を区間ごとに比較すると、1区・大迫は、2分以上速い。どういう指示だったのか。

 渡辺 (5キロ)14分40秒ぐらいだと他の選手がついてくることができる。彼を1区に使うのは独走したいから。中途半端なペースで行くなよと指示した。ただ、1区にナンバーワンを使うというのは、駅伝のセオリーから言うと×。3冠がかかっていたから、一か八かの勝負で彼を使った。

 大後 この1区の流れが、とにかく他校を焦らせた。

 酒井 やはり、1区での2分差というのは、最終的にすごく重かった。1分以内で来てほしかった。後ろの集団が動かず、どんどん逃がしてしまった。渡辺監督の采配通りにずばりやられた。

 ――柏原に関して、タイムの指示は。

 酒井 トータルタイムでの指示は出したことがない。ただ、今回はやはり前回早大にやられているので、自分のところで何とか稼ぎたいという気持ちが強いようで、1時間16分台を目指したいと、初めてタイムを言っていた。

 大八木 16分台で走られると、きつい。大体の選手は19分とか20分ぐらいで走れば、5区なら上出来。16分となると3分から4分はやられる。その分4区までに離すといったら大変。6区の場合は離せても1分か1分半ぐらい。

 ――箱根で、3大重要区間は。

 渡辺 「5、6、2区」。毎年、ポイントになる区間。早大は特に山が鬼門と言われているから。

 酒井 「2、5、6区」。もちろん1、3も序盤は非常に大事だが、やはり、2は1が悪ければ立て直しもできるし、3の走りも2次第。花の2区の重要性は非常に高い。5は23キロあるし、最も差がつく区間。東洋の場合、5で貯金をして、6でさらに貯金できれば大きい。

駒大・大八木 5区が踏ん張り所

 大八木 「2、5、6区」。1の出遅れは2で何とかできる。5区は一番大事な差がつくところ。そこで踏ん張ってもらいたい。6区というのは、復路のスタートなので、いい流れを作ってほしいと思う。

東海大・両角 1、2、5区を重視

 両角 「1、2、5区」。2区と5区はコースの特徴、距離からいっても重要。1区は唯一、自分の思い通りのレースができる区間。前回の大迫、またその前で言えば佐藤悠基(日清食品グループ)が圧倒的な走りをした。どんどんいってほしいなという、そんな思いも込めて1区。

 西 「1、2、3区」。前回、前々回いい流れでいけた。それをもう一回踏襲したい。それと、2区の鎧坂哲哉(4年)に何とか負担がかからないように持っていきたい。いい流れを3区まで持っていければ、後は流れていって、そのまま1位でゴールできるんじゃないかと。

 大後 これが箱根で勝つための王道。だから、こういう区間にしっかりとした選手を育てていかないと上位には行けない。

 ――エースに求めるものとは。

 大後 計算できるということ。安定性、計算できる、安心を与えてくれるというのがエースの存在。

 渡辺 エースとは「宇宙人」。名選手は大体、ちょっと変わっている選手が多い。早大では瀬古利彦さんが超宇宙人。私も含め、大迫も非常に宇宙人的要素を持っている。

 酒井 「レースの流れを変える」のがエース。うちの怪獣も、やはりレースの流れをそこで変えられる。

 ――大八木監督も同じ。

 大八木 駒大でエースと言えば藤田敦史(富士通)。後手に回っていても、流れを変えていた。常に安定し、責任感があり、本当に指導者に応えてくれる。今年のチームで、だんだんエース格になり始めているのは窪田忍(2年)。

 両角 エースはチームを引っ張る存在なので、ふだんの練習や生活のすべてが大事。村沢は非常に物静かな性格だが、背中で見本を見せている。

明大・西 エース鎧坂へ期待

 西 エースは「気合」。鎧坂の場合は、皆さんの言うことが全部当てはまる。レースに関しては、今ある力を100%出す選手。体調が悪くても、悪いなりにしっかり抑えて走る。

 ――本戦まであと3週間、今、選手たちに伝えておきたいことは。

 渡辺 風邪と故障。これは、毎日言い続けても、必ず何かしらある。これがなかったら絶対勝てる。

 酒井 体調管理はもちろん。特に4年生はこの箱根を機に引退という選手もいるので、この緊張感をある意味大いに楽しんでほしい。

 大八木 体調管理は当然だが、やはり、悔いのないレースをしてほしい。下級生には、次回以降のためにもいい経験をしてほしい。

 両角 たかが箱根、されど箱根と言いたい。

 西 もちろん故障と風邪が一番心配。1年間やってきたのが、この3週間でゼロにならないように万全を期して、体調管理をしてもらいたい。

 ――ここだけには負けたくないという大学は。

 渡辺 全くない。ただ、強いて挙げるなら、やっぱり、トークで負けている明大・西監督。

 西 早大には負けたくない。

 酒井 出場校すべてに負けたくないという気持ちでやりたい。

 両角 あえて挙げるなら、監督が同期の日体大と青学には負けたくない。

 大八木 全部のチームに負けたくない。

 ――箱根への抱負を。

 西 あと3週間、万全を期して、予定した選手がきちっとスタートラインに立てるように頑張りたい。

 両角 新年から明るい話題を皆さんに提供できるように、選手ともども頑張っていきたい。

 大八木 箱根駅伝を応援してください。頑張ります。

 酒井 今回、東洋大も東日本大震災の被災地出身の選手が非常に多い。年明けの大会では、元気のある姿を披露したい。

 渡辺 これだけたくさんの方に注目される箱根駅伝。素晴らしい走りを選手にさせたい。

 

 【コース】東京・大手町読売新聞旧東京本社(建て替え中)前〜箱根・芦ノ湖往復

2011年12月20日  読売新聞)
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