シード争い…一斉スタートで観戦者に順位不明
東洋大の圧勝で終わった第88回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=読売新聞社共催)。往路を新記録で優勝した東洋大とのタイム差が10分を超えた13チームが一斉スタートとなった復路は、見かけと本来の総合順位が一致しない、見えない敵との競走となった。
アンカーに託されたシード権争いも、明暗が分かれた。
最終区の鶴見中継所。12番目にタスキを受け取った国学院大の青木信夫選手(4年)は、走る前にタイム差を確認し、総合9位からシード落ちしないために前後を走る拓大、国士舘大にマークを定めた。
運営管理車に乗る前田康弘監督(33)が、本当のタイム差や状況などを刻々と伝える。残り3キロで「このまま行けば大丈夫」。青木選手は最後まで落ち着いてペースを刻み、なんとか総合10位で2年連続のシードを死守した。「自分はプレッシャーに強い方じゃない。余裕を持って走れたのはみんなのおかげ」と感謝した。
9区までで総合10位だった中大は、塩谷潤一選手(3年)が見かけ上9番目に走り出した。後方で走る相手を上回る走りをするしかない。「とにかくタイムを落とさずに前を追いかけ、一つでも順位を上げなければ」と、腕を大きく振り、体を揺らす独特のフォームで力走。チームを総合8位に引き上げ、28年連続のシード権をもたらした。
一方、見かけ上は14番目でスタートした国士舘大。
実際の総合順位は11位で、追いかけるしかない展開に、西尾尚貴選手(4年)はオーバーペース気味になった。結果は11位で、惜しくもシード落ち。「とにかく前の集団に早く追いついて、最後の5キロで勝負しようと思ったが、最初からきつかった。力不足。悔しいです」。仲間の元に戻り、涙を流した。
(2012年1月4日08時57分 読売新聞)
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