皇后さま 誕生日ご感想きょう77歳「復興見守っていきたい」皇居・御所の庭を散策される皇后さま(2011年10月6日)=宮内庁提供
皇居・御所の庭を散策される天皇、皇后両陛下(6日)=宮内庁提供
皇居・御所の庭を散策される天皇、皇后両陛下(6日)=宮内庁提供
皇居・御所の近くで、ハマギクを鑑賞される両陛下。14年前に訪れた岩手県大槌町に咲いていた花の種を取り寄せ、植えられたもの。今年5月、被災した同県沿岸をヘリから見た際は、同町の被害も気にかけられていたという(6日)=宮内庁提供
皇居・御所の庭を散策される天皇、皇后両陛下(6日)=宮内庁提供
皇后さまは20日、77歳、喜寿の誕生日を迎え、これに先だち宮内記者会の質問に文書で回答された。 この1年を振り返って、との問いには、「各地が大きな災害に襲われた、悲しみの多い年でした」との書き出しで、特に東日本大震災と原発事故の被害について、犠牲者の遺族、被災者への思い、復旧・復興に携わる人々への感謝を1700字近い異例の長さでつづられた。 この中では、天皇陛下が、苦しむ人々を見舞い、共にあることを役割と考えられていたことや、自身、一時は深い絶望を感じたが、助け合う人々の姿に支えられたことなどにも触れられた。その上で、「真によい復興をとげる日まで、長く心を寄せ、その道のりを見守っていきたい」とこの部分の回答を結ばれた。(2011年10月20日付朝刊掲載記事) ◇ ◇ ◇
問1今年は3月に東日本大震災、福島第一原発事故が起き、9月には台風災害として平成に入り最悪となった台風12号による豪雨被害にも見舞われました。一方、女子サッカーの「なでしこジャパン」がワールドカップ優勝の快挙を成し遂げるなど、震災後の日本を勇気づける明るい出来事もありました。この1年を振り返ってのご感想をお聞かせください。特に、甚大な被害をもたらした今回の大震災をどう受け止め、天皇陛下とともに慰問された被災地ではどんなことをお感じになりましたか。震災当日の天皇、皇后両陛下のご様子もお聞かせください。 (ご回答) 今年は日本の各地が大きな災害に襲われた、悲しみの多い年でした。3月11日には、東日本で津波を伴う大地震があり、東北、とりわけ岩手、宮城、福島の3県が甚大な被害を 豪雨による災害も大きく、7月には新潟、福島の両県が、9月の台風12号では、和歌山、奈良の両県が被災しました。災害に関する用語、津波てんでんこ、炉心溶融、シーベルト、冷温停止、深層崩壊等、今年ほど耳慣れぬ 2万人近い この度の大震災をどのように受けとめたか、との質問ですが、こうした不条理は決してたやすく受け止められるものではなく、当初は、ともすれば希望を失い、無力感にとらわれがちになる自分と戦うところから始めねばなりませんでした。東北3県のお見舞いに陛下とご一緒にまいりました時にも、このような自分に、果たして人々を見舞うことが出来るのか、不安でなりませんでした。しかし陛下があの場合、苦しむ人々の 災害発生直後、一時味わった深い絶望感から、少しずつでも私を立ち直らせたものがあったとすれば、それはあの日以来、次第に誰の目にも見えて来た、人々の この時期、自分の持ち場で精一杯自分を役立てようとしている人、仮に被災現場と離れた所にいても、その場その場で自分の務めを心をこめて果たすことで、被災者との連帯を感じていたと思われる人々が実に多くあり、こうした目に見えぬ絆が人々を結び、社会を支えている私たちの国の実相を、誇らしく感じました。災害時における救援を始め、あらゆる支援に当たられた内外の人々、厳しい環境下、原発の現場で働かれる作業員を始めとし、今も様々な形で被災地の復旧、復興に力を尽くしておられる人々に深く感謝いたします。 この度の災害は、東北という地方につき、私どもに様々なことを教え、また、考えさせました。東北の抱える困難と共に、この地域がこれまで果たしてきた役割の大きさにも目を向けさせられました。この地で長く子どもたちに防災教育をほどこして来られた教育者、指導者のあったことも、しっかりと記憶にとどめたいと思います。今後この地域が真によい復興をとげる日まで、陛下のお言葉のように、この地に長く心を寄せ、その道のりを見守っていきたいと願っています。 (震災の日の陛下と私の様子をとのことですが、事後の報道にあったことに、特に加えることはありません) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この1年の世界の出来事で、特に印象に残るものとして、チュニジアのデモに端を発し、エジプト、リビア始めアラブ世界の各国に波及した「アラブの春」の動きがありました。なお、案じられることとして、タイをはじめ近隣の国々で今も続いている豪雨災害があります。 9月、日本とのつながりの深いケニアのマータイさんがなくなりました。丁度日本訪問の思い出をつづったお便りと共に、長く関わってこられた植樹活動のDVDが ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
恵まれぬ環境下で、長く努力を重ねてきた女子サッカーチーム「なでしこ」のワールドカップ優勝、美しい演技で知られる日本体操チームの世界選手権での活躍、魁皇関の立派な記録達成等、今年のスポーツ界には、うれしいニュースが続きました。園遊会に出席の佐々木監督と沢選手は、あの日どんなに大勢の人から喜びの言葉をかけられたことでしょう。大きな魁皇関は、芝生の斜面に笑顔でゆったりと立っておられました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この1年間にも各界は何人もの大切な方たちを失いました。このうち5月に亡くなった坊城
問24人のお孫さまは健やかに成長され、秋篠宮ご一家の長女眞子さまはまもなく20歳となり、成年皇族になられます。皇太子ご一家、秋篠宮ご一家とは最近ではどのような交流をされ、どんな思いで接しておられますか。初めてのお孫さまが成年を迎えられることで、何か感慨はございますか。 (ご回答)4人の孫たちは、秋篠宮家の上の2人、眞子と佳子が19歳と16歳、東宮の愛子が九つ、秋篠宮家の末の悠仁が五つになり、それぞれに個性は違いますが、私にとり皆可愛く大切な孫たちです。会いに来てくれるのが楽しみで、一緒に過ごせる時間を、これからも大切にしていくつもりです。 質問にもありましたように、今年は秋篠宮家の長女眞子が成人式を迎えます。思慮深く、両親が選んだ名前のように
問3 7月初旬に左の肩から腕に強い痛みを訴えられ、9月に痛みが再燃し、北海道訪問を取りやめられました。天皇陛下は2月、心臓の冠動脈に硬化や (ご回答) 5、6年程前から、医師の警告を受けていた 8年前、前立腺の手術をお受けになった陛下は、今もホルモン療法をお受けになっており、そのことが骨や筋肉に及ぼす悪い影響は避けられません。薬をお 陛下のお務めの御多忙がお体に障らぬよう、深くお案じ申し上げておりますが、他方、病気をお持ちの陛下が、少しも健康感を失うことなく、日々の務めに励んでいらっしゃるご様子を見上げますと、陛下の御日常が、ごく自然に公務と共にあるとの感も深くいたします。 人々のために尽くすという陛下のお気持ちを大切にすると共に、過度のお疲れのないよう、医師や周囲の人たちの意見も聞きつつ、常に注意深くお
(2011年10月20日 読売新聞)
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