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「勝てる監督」証明の時

 アジアカップは、オシム監督が日本代表を率いて臨む、大きなタイトルがかかった初の大会だ。就任から約1年。チーム作りの方向性や指導力などは、すでに高く評価されている監督だが、目の前の真剣勝負にいかに勝つかという手腕について、事実上初めて問われることになる。

 国内での最終合宿が打ち上げられた3日、オシム監督は慎重な言い回しに終始した。「みなさん(報道陣)は、29日(決勝戦)の後に帰ってくると期待しているかもしれないが、(グループリーグ)3試合だけで帰ってくる可能性もある」

 好結果を残せなかった時のために予防線を張っているわけではない。指揮官が心配しているのは、お互いの準備状況や、アジアの他国が力を付けている現実を客観視せず、無条件に「日本は優勝できる」と信じ込む雰囲気が広がることだ。「(チームカラーの)青いフィルターがかかった眼鏡で見るのは危険」と言うのは、当然の戒めだろう。

 それでも、オシム監督は自分が「勝てる監督」だということを証明すべきだ。アジアカップは、来年に始まるワールドカップ予選の準備でもあり、日本サッカー協会もノルマは課さない意向だが、準備期間中だからこそ、監督自身の手腕を見定めなければならない。

 試合中にマジックのような采配(さいはい)を振るうタイプではない。しかし、厳格な老教師のようなこれまでとは別の、「勝負師・オシム」という側面も見せてほしい。(軍地哲雄)

2007年7月5日  読売新聞)
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