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近代日本人の思索たどる…明治以降の先駆者の業績

Eテレ年間特集シリーズ

足尾銅山鉱毒事件に関し、強制立ち退きに抵抗した旧谷中村(栃木県)を訪ねた西島秀俊

 日本人の思索の跡をたどるEテレの特集シリーズ「日本人は何を考えてきたのか」(日曜後10・00)が始まった。西洋近代文明を受け入れた明治以降、人々が時代とどう向き合ってきたのか。大正、昭和へと続く知の格闘を追い、未来を読み解く手がかりを約1年かけて探る試みだ。(泉田友紀)

 シリーズの特徴は、世界の中の日本という視点を重視し、国内外の最新研究を紹介、環境保護や国際平和など、現代につながる課題に取り組んだ先駆者たちの業績を発掘していること。福島の民権運動家・苅宿仲衛(かりやどなかえ)ら、あまり知られていない人物の軌跡もたどった。

 毎回、案内役が思想を育んだ場所を旅する。8日に放送された第1回「日本はどこへゆくのか〜福沢諭吉と中江兆民〜」では、モデルの知花くららが両者の外遊先を訪ね、15日放送の第2回「自由民権 東北で始まる」では、宮城県出身の俳優、菅原文太が東北を回った。

 塩田純エグゼクティブ・プロデューサーは「思想を映像にするのは難しいが、できるだけ現場を訪れるよう心がけた。旅人の視点を通して、事実を提示し、見る人に考えてもらいたい」と語る。

田中正造
南方熊楠

 22日に放送される「森と水と共に生きる〜田中正造と南方熊楠〜」には、俳優の西島秀俊が出演。足尾銅山鉱毒事件を追及した田中と、明治政府の「神社合祀令」が地域の生態系や文化を壊すとして反対した南方の環境思想の跡を、足尾や熊野などで探った。

 原発事故以降、田中の思想を再評価する声が、国内だけでなく韓国でも高まっているという。また、日本で初めてエコロジーの概念を紹介した南方の活動は、現在の環境保護の理念に息づいている。番組では旅の映像を基に、研究者を交えてその意義を議論する。

 西島は以前から南方に興味を持ち、著書などを読んでいたという。「彼らが展開した運動は、そのまま現代とつながっている。その思想の中に、人や社会、自然との関係をもっと豊かなものにするヒントがあるのではないか」と語る。

 塩田は「明治以降、色々な可能性の中から一つの道を選び、現在の日本が出来上がった。だからこそ、選ばれなかった選択肢に光を当て、改めて考えてみたかった」と言う。

 シリーズは3部構成で、明治、大正、昭和の時代ごとに各4回を集中放送する。放送中の明治編「文明の扉を開く」は、29日の「非戦と平等を求めて〜幸徳秋水と堺利彦〜」が最終回。大正編「『一等国』日本の岐路」は7月、昭和編「戦争の時代を生きる」は来年1月に放送を予定している。

2012年1月17日  読売新聞)

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