『出世をしない秘訣 でくのぼう考』 ジャン=ポール・ラクロワ著
評・松山 巖(評論家・作家)
組織の陰謀に「否(ノン)」を
人を
第一章「子どものうちからが肝心」では、決してよい点数はとるな、答案にはインチキを書け、わざと間違えろ、先生のお仕置きがあろうが、両親が嘆こうが、成績は悪くなるようにしろ、と。第二章以降は、事業家にならないため、いつまでも二等兵でいるため、流行作家にならぬため、政治家にならぬため、社会の
〈「個々の人」。これを、しっかり
訳者は椎名
当時は六〇年安保の時代。椎名がなぜ本書を国論分裂の期に訳したのか。日本人よ、組織に動かされず自分自身で考え行動しろと彼は本書に託したのだ。ところで真の著者は主張通り名利を捨て、名を秘したようだ。ハテ、モニエも十九世紀の諷刺画家ではなかったか。ユーモアたっぷりの本書を我々は今、どう読むのか。
◇Jean‐Paul Lacroix=仏の作家。新聞に風刺エッセーを寄稿したとされるが詳しい経歴は謎に包まれている。
こぶし書房 1900円
- 『牡蠣と紐育』 マーク・カーランスキー著 (3月5日)
- 『資本主義が嫌いな人のための経済学』 ジョセフ・ヒース著 (3月5日)
- 『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』 村山斉著 (3月5日)
- 『共喰い』 田中慎弥著 (3月5日)
- 『新しい世界史へ ―地球市民のための構想』 羽田正著 (3月5日)
- 『「ユリシーズ」と我ら』 デクラン・カイバード著 (3月5日)
- 『寺田寅彦』 小山慶太著 (3月5日)
- 『痕跡本のすすめ』 古沢和宏著 (3月5日)
- 『剃刀日記』 石川桂郎著 (3月5日)
- 『十字軍物語 1・2・3』 塩野七生著 (2月27日)
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