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原発、各国に温度差…科学技術フォーラム開幕

 約100か国の研究者、経営者らが参加する国際会議「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」の第8回年次総会が2日、京都市で開幕し、東京電力福島第一原子力発電所事故後のエネルギー政策のあり方が初日の主要議題となった。

 原発推進の必要性を訴えた新興国側に対し、原発全廃を決めたドイツは「原発のコストは従来の3倍だ」などと反論した。

 出席した国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は「原発への関心の高まりは事故後も変わっていない」と強調した。

 経済成長が続くインドや中国などの新興国は、今回の原発事故後も、旺盛な電力需要をまかなうため原発建設計画を推進する姿勢を変えていない。IAEAが9月に出した予測では、世界の原発は現在の432基から、2030年までにさらに約90〜350基増える見通しだ。

 一方、ドイツのマティアス・クライナー研究振興協会会長は「(事故時の賠償などを含めると)原発のコストはこれまで考えられていたものの3倍になる。脱原発により、風力など再生可能エネルギー関連の市場と約30万人の雇用も生まれる」と強調した。

 これに対し、英国のジョン・ベティントン政府主席科学顧問は、発電時に温室効果ガスを出さない原発の利点を訴え、「原発なしに温暖化対策は不可能だ」と反論した。東芝の西田厚聡会長も「エネルギー需要の増大により、温室効果ガスの排出量は2030年に30%、50年は70%増える」との見方を示した。

 今回の事故を教訓に、原発の安全性を徹底的に高めるべきだとの点では一致した。日本から参加した北神圭朗・経済産業政務官は「ストレステスト(耐性検査)の実施などで国民の原子力に関する信頼を勝ち取りたい」と強調した。(井岡秀行、大阪経済部・船木七月)

2011年10月3日00時35分  読売新聞)

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