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無策の首相に沖縄冷淡、「近く退陣」見限る?

 菅首相は23日、沖縄全戦没者追悼式に出席し、「米軍基地の負担軽減に努力する」と強調した。

 だが、日米両政府はわずか2日前に、米軍普天間飛行場を沖縄県内に移設する具体的な工法などで正式合意したばかり。沖縄県民の目には「負担軽減」の道筋とは映らない。鳩山前政権に続く菅政権の司令塔不在に対する沖縄の不信感は根深い。

 「首相が大好きだということで、沖縄そばを食べた。(基地や沖縄振興の話は)一切なし。昼食の雑談で終わりだ」

 23日午後、那覇空港で首相との会談を終えた沖縄県の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事は、会談が米軍基地問題などをめぐる正式協議の場ではなかったことを強調した。

 首相と仲井真氏は当初、全戦没者追悼式後、別々に昼食をとった後、非公式な会談を行う予定だった。しかし、会談は急きょ、昼食会に変更された。日程がずれ込んだせいもあるが、仲井真氏は日ごろから「食事をしながら仕事の話はしない」と明言している。

 首相が沖縄を訪れる直前の21日、ワシントンでは「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」が開かれ、日米が普天間移設問題をめぐる方針を正式決定した。沖縄県内の名護市辺野古にV字形に2本の滑走路を配置する代替施設を建設する、という合意内容は、「県外移設」を強く主張している沖縄にとって受け入れがたい内容だ。

 政府筋は、首相が議題として普天間問題を取り上げなかったことについて「23日は沖縄慰霊の日なので、最初から融和的な雰囲気でやることにしていた」と話す。

 一方の知事周辺からは「辞める首相と解決の道筋が見えない普天間問題を協議しても仕方ないと見限っている」との見方が出ている。昼食会は、2プラス2の合意内容について、政府との協議に応じないための対応だったとも受け取れる。

 沖縄側が政府に冷ややかなのは、菅政権に沖縄政策に対する真剣さや熱意を感じ取れないためだ。

 菅首相は23日の追悼式のあいさつで「沖縄の負担軽減と危険性の除去に最大限努力する」と語った。だが、これまでの沖縄訪問で、なぜ沖縄に基地が必要なのかということについて、安全保障上の観点から県民に説明したことは一度もない。

2011年6月24日00時49分  読売新聞)

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