ニュース 速報 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

伊予高演劇部 署員と劇団

振り込め防止「孫の気持ちで」  

振り込め詐欺にだまされる高齢者を演じる伊予高演劇部員(右)と、声をかけるコンビニ店員にふんする伊予署員(松前町北黒田の県立伊予高で)

 県立伊予高演劇部員と伊予署員が協力して劇団「まもるくんといよっぴー」を結成し、振り込め詐欺にだまされないよう訴える寸劇を高齢者福祉施設などで披露している。劇団は3月末までの期限付きだが、観衆の評判は上々で、同署は「今回の経験を基に、新年度以降も他犯罪の防止を含めた寸劇を演じられれば」と継続を望んでいる。(梅本寛之)

 「電話1本で、もうかってしょうがないわい」。サングラスをつけた犯人役の男子生徒が、扇子であおぎながら言い放つ。

 寸劇は、松前町役場の健康保険係職員と名乗る男から過払い医療費の還付を告げる電話が、高齢者宅に入るところからスタート。高齢者はコンビニエンスストアの現金自動預け払い機(ATM)に誘導され、不審に思った伊予署員ふんする店員に話しかけられていったんは振り込みをやめたが、結局は別のATMから99万円を振り込んでしまう――という内容だ。

 劇団は昨年9月、同署側が同校に呼びかけて結成。8月に還付金詐欺の未遂事案が2件あったことを受け、本田稔・同署生活安全課長が「高校生の新鮮な演技を見れば、高齢者も詐欺の仕組みを理解しやすいのでは」と思いついたという。

 一方、同部は普段、1、2年生10人で活動。これまで女子高生と独居老人の交流話や、住民の相談に奔走する新米警察官など身近で親しめる劇を披露しており、「自分たちの祖父母世代に楽しんで学んでもらえるなら」と了承した。

 部員たちは、同署員が実際の被害を基に作成したシナリオなどを用い、なじみのなかった「還付金詐欺」について勉強。「自分の祖父母が振り込め詐欺にあったら」と考え、高齢者に生々しいやり口がわかってもらえるよう、「声は大きく、スピードをゆっくりめに」と声をかけ合って1日2時間練習に励んだ。

 10月中旬に松前町内のデイサービスセンターの初公演1週間前には、署員5人との合同練習も実施。観客50人を前に演じた。12月には署内で金融機関関係者向けにも行った。上演後、観客からは「書面で説明を受けるよりわかりやすい」「近所の老人会でも上演して」など好評だったという。

 3月末までに一般市民向けに披露する予定。同部部長の2年有光江莉加さん(17)は「短い劇だが、お年寄りの胸に残るように精いっぱい演じている。少しでも振り込め詐欺の減少につながれば」と願っている。

2012年1月19日  読売新聞)
現在位置は
です