「パワハラあった」労災逆転裁決…JR職員自殺
山形県にあるJR東日本酒田運輸区の副区長だった新潟市の男性(当時51歳)が2009年2月に自殺したことについて、国の労働保険審査会が、庄内労働基準監督署の決定を取り消し、労災を認定する逆転裁決をしていたことが分かった。
「男性の自殺は上司のパワーハラスメントが原因」として、男性の妻が労災申請し、同労基署などの決定を不服として同審査会に再審査を請求していた。同審査会によると、労基署などでの決定が再審査請求で覆るケースは年に数%しかないという。
男性の妻の代理人などにによると、裁決は昨年11月25日付。裁決書では、就寝中にメールが送られたり、夜間の勤務が多かったりしたことが挙げられており、代理人は「上司からのパワハラがあったことがうかがえる内容だった」と指摘している。
男性は07年に酒田運輸区に副区長として配属。09年2月に「パワハラをやめてほしい。異動したい」といった趣旨の書き置きを残し、新潟市内の実家で首つり自殺をした。
妻は、労災保険法に基づき、遺族補償給付の支給を庄内労基署に申請したが、同労基署は10年4月に不支給を決定。決定を不服として、山形労働局の労災保険審査官に審査請求をしたが、同年11月に請求を棄却したため、同審査会に再審査請求をしていた。また、再審査請求と並行して、国を相手取り、不支給決定取り消しを求める訴訟を11年6月に山形地裁に起こしていた。
酒田運輸区を管轄するJR新潟支社は「裁決の詳しい内容が分からないので、コメントは差し控える。改めて故人のご冥福をお祈りしたい」としている。
同審査会の裁決を受け、庄内労基署は2月から遺族補償年金の支給を開始するという。
厚生労働省労働保険審査会事務室によると、労災関係の再審査請求を受けて、10年度に同審査会が裁決したのは649件。うち、労基署などの決定が取り消される逆転裁決は3・4%の22件しかなかった。01年度からの10年間でみると、年約3〜6%で推移しており、大半の再審査請求は棄却されているのが現状だ。
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