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東電料金値上げ、企業「努力が水の泡」…群馬

円高、一層の節電…負担増に懸念

売り場では照明を極力控えめにし、節電努力を続行(18日、スズラン百貨店前橋店で)

 東京電力が企業向けの電気料金を32年ぶりに値上げすることで、群馬県内企業からは負担増を懸念する声が上がっている。

 4月から平均17%値上げされる対象は、工場やオフィスなどの大口契約者で、東電群馬支店によると、県内では約1万5300件が該当する。

 県内に主力工場を持つ富士重工業は、数億円の生産原価の上昇になるとみている。広報担当者は「値上げは円高と重なって業績的に厳しさが増す。頭が痛い」と話す。県内2工場には自家発電設備があり、使用電力の半分をまかなっているが、今夏、太田市の本工場にも導入するという。

 血圧計などの医療機器メーカー「日本精密測器」(渋川市)は、売り上げの約3割が欧州向けの輸出。折からの円高・ユーロ安に加え、電気料金値上げで「ダブルパンチ」を受けることになる。光熱費などの変動経費の15%削減に取り組んでいたといい、広報担当者は「努力が水の泡。東電は、値上げの前にやるべきことがあるのではないか」と憤っていた。

 化粧品メーカー「コーセー」は、スキンケア商品の主力の群馬工場(伊勢崎市)に数億円かけて自家発電設備を7月に稼働させる予定だ。値上げにより、自家発電の方が割安になるという。24時間稼働で使用電力の半分以上をまかなう。

 同社の自家発電設備はもともと、原発事故での電力供給リスクを軽減させるためだったが、値上げで今後、さらに導入する企業が増える可能性もある。

 小売店も困惑している。

 ホームセンター「カインズホーム」(本部・高崎市)は、消費電力の少ないLED(発光ダイオード)照明への切り替えや、エアコンの温度設定を調整するなどしてきた。「さらなる節電対策を推進するしか、今の時点では対応策が浮かばない」(広報部)と、戸惑いを隠さなかった。

 スズラン百貨店前橋店も原発事故以来、店内の照明を間引きするなどしている。

 角田正史総務課長は「できるだけの対策をやっている。新たな節電は難しい」と肩を落とした。

 家電量販店「ヤマダ電機」(高崎市)は、LED照明の採用や入れ替えのほか、エアコンの電気代を最大25%カットする省エネシステムの導入などを行い、節電対策を継続し、更なる削減を図っていくという。

 東電群馬支店では、契約電力500キロ・ワット以上の企業など約900件に担当者を訪問させ、値上げの説明と理解を求める。その他の契約者に対しては、2月初旬に専用ダイヤルを設けて対応する。

 今回の値上げは企業が対象だが、一般家庭にも不安が広がっている。邑楽町の主婦(35)は「家庭の電気料金も値上げをされたら納得がいかない。さらに節約するしか方法が他にないのか……」と表情を曇らせた。

2012年1月19日  読売新聞)

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