お【(ぉ 】
絵・唐沢なをき/文・唐沢よしこ
最近はビデオチャットも盛んになり、ネット上といえども顔を見ながらコミュニケーションが取れる時代になりましたが、まだまだメインとなるのは文字での交流ですワン。
そして、文字だけで微妙な感情を伝えるのはとても難しいものです。こちらは好意的な意味でかけた言葉も、前後の文章によって相手は怒っていると受け取るかもしれません。
そこで、よく使われるのが顔文字やカッコ付きの感情表現です。なかでも「(笑)」はネットが発達する前から使われているので、よく見かけます。しかし、人間の感情はいつも笑っている状態だけというわけでないので、ネットの中ではいろいろなカッコ付き表現が出てきました。「(ぉ」もそのひとつですワン。
これは「(おいおい)」の略で、くだらないこと、ちょっと恥ずかしいことを言ったあとに「自分でもヘンなことを言ったとわかってます!」と、たしなめる意味で多用されていますワン。俗に言う「ひとりツッコミ」ですね。基本的に音読されない言葉なので読み方は不明ですが、「お」と読む人が多いかと思われます。ほかにも似たような意味合いで「(ぇ」という表現もあります。やはりヘンなことを言って、相手が取るであろうリアクションの「えーっ!?」という言葉を自分で先に言っているわけですね。探してみると、実にたくさんのカッコ付き感情表現が見つかります。
また、上記の表現は特に使用上のルールがあるわけではないので、使う人、文脈によって意味が違うこともありますワン。そして、このひとりツッコミ系の表現を使いすぎると「ひとりで会話を完結させるな!(怒」と不快に感じる人もいるのでご注意ください。
(2011年9月27日 読売新聞)