多面的に見て情報を探る
数字を読む4
数字は、見方によって様々に意味を持ちます。一面的にとらえてしまうと、ビジネスチャンスを逃してしまいかねず、注意が必要です。
今回は原油価格を例にとります。価格が1バレルあたり40ドルから90ドルに値上がりしたとしたら、どのような影響があるでしょうか。
まず考えるのはガソリン価格の上昇。そのほか、原油を原料に使う製造業の仕入れコストが上昇するといったことです。原油の輸入国である日本にとっては景気の悪化が懸念されます。
不景気となれば、会社の業績が悪化するのも仕方ないと思考が固まってしまいがちです。しかし、ここでもう一押し考えてみてください。原油価格の上昇は輸入する側にとっては損ですが、輸出する側にとっては得です=表=。
ビジネスの定石の一つは、もうかっている相手と取引をすることです。製造業であれば中東に製品を輸出できないかと考えるでしょうし、直接中東に輸出できる会社でなくても、2次的にもうかった国内の会社に取引を打診することもあり得ます。
一つの数字には「現実」が凝縮されています。数字の「表」だけでなく「裏」にどんな情報が隠れているか探る。そうすることで、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。(おわり)
望月実さん(公認会計士)
(2011年12月1日 読売新聞)
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