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料理
甘味主義

「こづちロール」 酒かすクリーム 酒蔵の理念と技示す

 金沢市の福光屋は江戸時代の寛永2年(1625年)創業という酒蔵だ。現在、福光松太郎さんが13代目当主を務めている。

 福光屋は2001年、扱う酒をすべて純米酒に変えた。醸造アルコールなどを加えず、米と水だけで酒を造っている。仕込み水は白山の麓から100年かけてたどり着く伏流水。米は山田錦などの契約栽培米。酒を仕込むのはいてつく寒さの季節で、杜氏(とうじ)らは、酵母や麹(こうじ)の微妙な変化を手で触れ、耳で聴き、香りをかいで酒に仕上げていく。

 そんな純米酒のおいしさを、もっと多くの人に知ってもらいたいと04年に作ったのが「こづちロール 酒かすクリーム」である。こづちは福光屋の商標だ。

 福光屋の純米吟醸酒「福正宗」は米本来のうまみが生きた、まろやかですっきりとした味わいの辛口の酒だ。その福正宗を搾り切らず、まだたっぷりと水分を含んだ酒かすを生クリームに加え、新鮮な卵と小麦粉でふんわりと焼き上げたスポンジ生地で巻いている。口に入れると、ふわっと酒かすの香りが広がる。甘さは控え目、口溶けの良い大人のスイーツだ。「酒かすには、酒蔵の理念が表れていると言われます」と広報の岡本亜矢乃さん。服の仕立ての丁寧さが裏側の布の始末で測れるように、プロは酒かすからも酒米や水の良しあし、酒蔵の技量を知るのだろう。

 上等な素材で作った、上質なお菓子だ。語らいながら、ゆっくりと味わうのも良いだろう。(フードライター・中島久枝)

1本1260円

福光屋
〒920・8638 金沢市石引2の8の3
電話 0120・293・285
2012年1月23日  読売新聞)

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