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企画・連載
家庭面の一世紀

(6)「博覧会」求職女性に光明

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不忍池のほとりで開かれた婦人子供博物館の会場

 奇妙な写真がある。

 東京・上野の不忍池のほとりに、山がそびえている。

 1916年(大正5年)9月15日、「よみうり婦人付録」発刊3年を記念して開催された「婦人子供博覧会」の絵はがきだ。山は、この博覧会のために材木などで造られた模造富士で、実際に登ることができた。

 もう1枚は、博覧会会場に飾られた大パノラマの写真。電話交換手、モデル、花売り少女などが描かれている。

 「婦人子供博覧会」は、女性の職業を紹介する博覧会だった。

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女性の職業を描いたパノラマ。絵の前に人形が配置されている

 人気を集めたのは、機織り、ミシン縫製、洋菓子作りなどの実演。婦人付録で連載された「婦人の職業」がパンフレットにまとめられて10銭で販売された。60種類以上の職業の収入明細が記入してあり、「婦人求職者にとって実に好羅針盤であります」と婦人付録で自画自賛している。

 当時の代表的な職業婦人である「髪結いさん」1000人が桜色の絵日傘をさして会場を行列し、模造富士を登った。身動きできないほどの見物の人だかりができた。

 博覧会は当たった。当時の記事によると2か月間の会期中に68万人が訪れ、39万人が模造富士に登った。この成功によって、文学新聞と呼ばれていた読売は、婦人新聞といわれるようになった(読売新聞八十年史)。

 働く女性へ向けられる社会のまなざしは、変わりつつあった。

2009年5月17日  読売新聞)

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