アメリカ大統領選とファッション
アメリカ大統領選がスタートした。11月6日の投票日に向けて、長い戦いが始まった。再選を目指すオバマ大統領に対して、共和党の候補者指名争いは大混戦だ。
さて、この米大統領選、ファッションと決して無縁ではない。日本では政治家などの服装が真剣に語られることはないが、アメリカでは選挙運動中から、有力候補がどんな服装をしているかはウォッチされている。だれにかって? ジャーナリストやブロガー、そして一般の人たちにだ。服は「自己表現」というだけあって、どのような場面でどのような服装をしているかが、その候補者の考え方や気分を示していることがある。
かつてよく語られたのは、米大統領選でケネディやブッシュなどが身に着けた赤いネクタイだ。自分をアピールするとともに、赤という色で自分を鼓舞する意味もあるのだろう。
まだ大統領選は始まったばかりだが、候補者たちは党員集会の際はラフな服装で、勝利宣言などをする時には、みんなスーツ姿になる。ネクタイは青系が多いようだ。
今回、共和党のアイオワ州党員集会で注目を集めたのが、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事と激しいデッドヒートを繰り広げたリック・サントラム元上院議員。党員集会などにニットのベスト姿で登場した。
このベストが有名になって一種のトレードマークのようになったのか、サントラム陣営はホームページで公式ベストを100ドル以上で販売している。つまり、このお金が候補への寄付となるわけだ。
一方、オバマ大統領のキャンペーンサイトには、「RUNWAY TO WIN(勝利へのランウエー)」というコーナーが設けられた。オバマ大統領を支持する有名ファッションデザイナー23人が、Tシャツやバッグなどをデザインした。例えば、マーク・ジェイコブスのTシャツが45ドル、トリー・バーチのトートバッグが75ドルと価格は手ごろ。そして、全部アメリカ製だ。こうした有名デザイナーが登場すると、選挙資金集めにも有効だろう。正式な販売は2月7日からだが、今は予約を受け付けている。
アメリカのファッションデザイナーに会うと、どの政党の支持者であり、どんな点において賛同するのか明確な意見を持っている人が多い。また何か社会的な出来事があると、コメントもするし、社会性が高い。これから11月までの間、デザイナーの動きを含め、大統領選とファッションの関係についてチェックしていきたい。
リック・サントラム候補のサイト
オバマ大統領のキャンペーンサイト内「RUNWAY TO WIN」
宮智 泉(みやち・いずみ)さん
読売新聞東京本社編集委員
東京生まれ。国際基督教大学卒業。1985年、読売新聞社に入社。水戸支局、地方部をへて、生活情報部。2009年1〜5月、カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム大学院の講師を務める。同年6月より編集委員。ファッションやライフスタイル、働く女性の問題などを担当。
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