(4)父親が誘い出す役に
仕事を続けながら引きこもりの子とどう関わればいいでしょうか。(10代男子の母)
前回、高校を退学し引きこもる息子のために母親が仕事をやめるのは逆効果という助言を紹介しました。今回はその続きです。
引きこもり相談歴が豊富な「K2インターナショナル」(横浜市)の渡辺克美相談室長が勧めるのは、父親が前に出る手法です。
夫婦でまず「成長を信じる」と確認したうえで、関わりの主役を父親にする。思春期の息子は母親に心情を吐露しにくく、父親が散歩や旅行に誘い出して心をほぐす方が自然だからです。母親は仕事の楽しさなどを語り、社会への関心を高める役割を担うと良いとも。
ただ、転機は思いがけない所に転がっています。例えば、K2が営む食堂で働く渥美形彦(なりひこ)さん(29)。いじめで引きこもりとなった中1以来の日々を変えたのは、一昨年の伯父の言葉でした。「お前は小さいころから遠慮しすぎ。親は元気なのだから、もっと迷惑をかけてみろ」と。
自分を変えるのは自分とストンと胸に落ち、数日後、K2に足を運びました。将来は障害児の支援を仕事にしたいと意欲的です。
いつか来るその時をたゆまず待つ。何より大事なのは、そんな親心ではないでしょうか。(松本美奈)
(2011年4月29日 読売新聞)
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