(36)叱るより「親の背」見せる
塾に通っているのに、成績が低迷しています。(小5男子の父)
先々困らないようにと塾通いをさせているのに、成績が上がらず、意欲も見えない。高い月謝を思えば腹が立つ……。思い当たる親御さんは多いでしょう。
目白大学の小野寺敦子教授(発達心理学)は、「怒りは子どもを大切に思うからこそ」と、親心に理解を示しつつ、こう続けます。「でも、怒りの発散では気持ちは伝わりません」
成績低迷を一番よくわかっているのは本人で、恐らく焦ってもいます。そこで叱りつければ、意欲を失わせるだけ。ここは親の腕の見せ所というわけです。
やる気を見せてほしいなら、まず親が一生懸命に生きている姿を示すと良いそうです。子ども、特に小5は同性の親をよく観察している時期。発達心理学によると、その中でまねをしたいと思うのは温かみのある対応とか。
「今日、学校どうだった」などと何気ない語りかけを繰り返しながら、自分がどう生きてきたかを伝える。一方で、勉強の仕方や、どこが問題かについて一緒に頭をひねる。親がそばにいるという安心感が、必ず子どもを育むといいます。
「勉強しろ」と叱るだけでは、親の資質も問われます。(松本美奈)
(2012年1月13日 読売新聞)
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