1月の店主は磯崎憲一郎さんです
先人が語る具体的な記憶
『スティーブ・ジョブズ』を読んで、改めて考えさせられたのだが、伝記とはいったい何なのだろう? 例えばジョブズが若い頃インド放浪の旅から戻ってきて両親と空港で再会する、次の部分。
「僕は髪の毛を
1970年代のアメリカ西海岸であればいかにも起こり得たであろう一場面のような気もするが、少々
伝記好きなのでもし私が書店を持つのであればそこには伝記や自伝が多く置かれる
ところで、ガルシア=マルケスの自伝『生きて、語り伝える』を読んでいて虚を
「人の生涯とは、人が何を生きたかよりも、何を記憶しているか、どのように記憶して語るかである。」
いそざき・けんいちろう 1965年、千葉県生まれ。2007年、「肝心の子供」で文芸賞を受賞しデビュー。09年、「終の住処」で芥川賞。昨年、『赤の他人の瓜二つ』でBunkamuraドゥマゴ文学賞。商社マン生活の傍ら執筆を続ける。
店主の一冊
●『スティーブ・ジョブズ1、2』(ウォルター・アイザックソン著、井口耕二訳、講談社、各1900円)この本は天才が回想する人生の場面であって、イノベーションを生み出す
●『ビートルズ 上・下』(ハンター・デイヴィス著、小笠原豊樹・中田耕治訳、河出文庫、各1200円)数あるビートルズ伝記本の中でも最高。40年に
●『生きて、語り伝える』(G・ガルシア=マルケス著、旦敬介訳、新潮社、3600円)「人生と文学は内容的に何が違うのかといえば単に形式が違うだけだ」これも同書中の言葉。
●『ナボコフ自伝 記憶よ、語れ』(ウラジーミル・ナボコフ著、大津栄一郎訳、晶文社、2600円)帝政ロシア時代の余りにも幸福な少年期を、作家は超絶的記憶力で描写する。
●『フランツ・カフカ』(マックス・ブロート著、
※丸善丸の内本店(JR東京駅前)の2階で、近日中に磯崎憲一郎さんの「空想書店」コーナーが登場します。
■=漢字は王に星
- 2月の店主は太田光さんです (2月14日)
- 1月の店主は磯崎憲一郎さんです (1月17日)
- 12月の店主は鈴木杏さんです (12月13日)
- 11月の店主は西村賢太さんです (11月15日)
- 10月の店主は丸山桂里奈さんです (10月13日)
- 9月の店主は玄侑宗久さんです (9月13日)
- 8月の店主は水谷修さんです (8月9日)
- 7月の店主は岡田准一さんです (7月12日)
- 6月の店主は穂村弘さんです (6月14日)
- 5月の店主は松木武彦さんです (5月10日)
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