私生活も“ファイター”人生　マーク・ウォールバーグ

　最新作「ザ・ファイター」で、実在のボクサー、ミッキー・ウォードを熱演しているマーク・ウォールバーグ。実は、マーク自身もこれまでの人生で戦ってきた“ファイター”なのです！

不良少年が人気ラッパーに！

　ボストンの貧しい家庭で育ったマークは９人きょうだいの末っ子で、11歳の時に両親が離婚。きょうだいの何人かが刑務所に入るという厳しい環境の中、マークもローティーンの頃、道を踏み外してしまいました。いわゆるストリート・ギャングの一員になり、路上で車を盗み、ドラッグを売り、ケンカを繰り返していたのです。

　あげくの果てに暴力事件で逮捕され、有罪となり刑務所へ──。結果的に、この経験が彼にとって人生の分岐点となりました。

　英「The Daily Mail」紙のインタビューによると、45日間の服役中に生き方を変えようと決意。そこで出所後は、かつての不良仲間から離れるためにケンカをしたことも。ちなみに、服役中に体を鍛えて筋肉をつけていたとか！　悪い仲間とは苦労して縁を絶ったそうですが、「人生において、かなりハードな戦いの１つだったよ」と語っています。

　トラックの運転手として働いていたマークを支えたのが、兄のドニー。彼はニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのメンバーで、当時大活躍していました。

　マーク自身も13歳の頃、同グループがメジャーデビューする前に在籍していたものの、アイドル的な音楽性に興味が持てず短期間で脱退。そこで再度音楽にチャレンジするにあたっては、ドニーのサポートを受けて、ラップグループのマーキー・マーク＆ザ・ファンキー・バンチを結成しました。

　デビュー後、アルバム２枚がヒットし、マークはラッパーとして活躍。20歳の時に「グッド・バイブレーションズ」がビルボートのシングル・チャートで１位を獲得しましたが、音楽での成功は長く続きませんでした。

実体験を糧にしてエンターテインメントの世界で成功

　音楽活動に陰りが見え始めた頃、カルバン・クラインの下着広告モデルに抜擢されて再び注目の的に。その後は俳優の道へ進み、1994年に「勇気あるもの」で映画デビュー。主演作「ブギーナイツ」でブレークして、次々と大作映画に出演しました。

　俳優業と同時に、製作側の分野でも活躍しているのがマークのすごいところ。イケメン俳優の赤裸々な私生活とハリウッドの実情を描いたテレビドラマ「アントラージュ★オレたちのハリウッド」では製作総指揮を担当。ハリウッドで成功したマークの実体験を生かしたストーリーがうけて、高視聴率をマークしました。

　俳優人生での大きな節目となったのが「ディパーテッド」。舞台はマークの地元ボストンで、州警察の巡査部長を演じています。役作りの上では不良少年だった頃、20回以上ボストン警察にお世話になった経験を参考にしたそう。演技は高い評価を受けて、アカデミー賞助演男優賞にもノミネートされました。成功も失敗も含めた実体験を糧にして、エンターテインメントの世界で生かすマークの才能は素晴らしいですよね！

　さらに自身の人生とオーバーラップする役に挑んだのが、「ザ・ファイター」（3月26日から公開）。実在のボクサー、ミッキー・ウォードが、彼の兄であるディッキー・エクランドと二人三脚で世界チャンピオンを目指した実話をもとにして作られた作品です。

　ミッキーは貧しさに負けず、夢に向かって前進し続け、リングの外でもさまざまな困難と戦い続けた真の“ファイター”なのです。

　マークも同様に貧困や周囲の環境と戦って、現在の地位まで昇りつめた苦労人。幼い頃からミッキーの大ファンだったらしく、３年間トレーナーについて肉体改造を行い、プロボクサー並みのボディーとなったマークのファイトシーンは迫力満点！　渾身の演技には、きっとミッキーと作品への熱い思いが込められているのでしょう。

素顔は子煩悩なマイホームパパ

　私生活でハードな逸話の多いマークは、恋愛関係でも話題に事欠かないモテ男でした。短期間だったものの、リース・ウィザースプーンやジェシカ・アルバと交際。また、キアヌ・リーブスの元カノで女優のチャイナ・チャウとつきあっていたことも。

　最終的にマークのハートを射止めたのは、モデルのレア・ダーハム。２人はくっついたり離れたりを繰り返していましたが、2003年に長女、続いて長男、次男が誕生しました。３人の子どもの父となってから、2009年にレアと結婚。米「People」誌のインタビューで「結婚したことは２人の絆を深めるうえで、より良くなるチャンスだと思う」と語っているように、夫婦仲は安泰。昨年は次女が誕生して６人家族となりました。

　家族と離れて過ごす時は電話を欠かさないという、子煩悩でマイホームパパのマーク。スクリーンでのタフガイぶりだけでなく、優しい素顔もまた魅力的です。

　若い頃の失敗を乗り越えて成功と幸せを手に入れたマークの生き方は、私たちに希望を与えてくれますよね。今後ますますの活躍に期待しましょう！

　【Profile】Mark Wahlberg（マーク・ウォールバーグ）　1971年６月５日、アメリカ・マサチューセッツ州生まれ。91年、マーキー・マーク＆ザ・ファンキー・バンチを結成し、デビューアルバム「Music for the People」をリリース。94年に「勇気あるもの」でスクリーンデビュー、「ブギーナイツ」に主演してブレークを果たす。主な出演作として「パーフェクト ストーム」「PLANET OF THE APES/猿の惑星」「ディパーテッド」などがある

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