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どうなる 非正規の医療保険

 非正規労働者が厚生年金に加入する基準の見直しが話題になっていますが、医療保険はどうなりますか?

加入対象者拡大 負担増も

 短時間労働者の厚生年金適用を巡り、現在週30時間以上の加入基準を、20時間以上として、対象者を拡大する方向で、厚生労働省は検討を進めている。年金と医療は同じ基準を現在は適用している。このため、医療分野をどう扱うかも課題として浮上した。

作図 デザイン課 吉田均

 パートや非正規労働者の多くは、市町村の国民健康保険(国保)か、被扶養者として被用者保険に加入している。基準が20時間以上となれば、保険が変わる可能性がある。

 まず、国保から、被用者保険に移動するケースを見てみよう。被用者保険には、大企業の組合健保、中小企業の全国健康保険協会管掌健保(協会けんぽ)、公務員の共済組合がある。国保と比べると、保険料の原則半分を事業主が負担してくれる利点があるほか、けがや病気で休業した場合の傷病手当金や出産手当金が受け取れたり、育児休業中に保険料が免除されたりするなど、保障も手厚くなる。

 次は、夫の会社の健康保険を利用するなど、被用者保険の被扶養者が、被保険者に移るケース。本人が新たに保険料を払う必要がある。

 健康保険組合連合会では、週20時間以上とした場合、477万人に影響が及ぶと推計。国保から被用者保険に181万人、被扶養者から被用者保険の加入者に296万人が移動すると見込んでいる。

 実際の保険料負担の変化を、厚労省が試算。1965年生まれの女性で、月収10万円のパート労働者が、協会けんぽの被保険者に移った場合を想定、介護保険料の負担も含めて比較した。

 国保に加入していた人の中には、年5000〜8000円の負担減になる人がいる一方で、被用者保険の被扶養者だった人には年6万5000円の負担増となり、働き方にも大きな影響を与えそうだ。

 一方、加入基準の見直しで、企業経営や医療保険の財政悪化を危惧する意見もある。

 健保連は、被用者保険全体では、保険料収入が増えるが、高齢者医療費の負担分も膨らむため、2460億円の財政悪化が生じると分析する。

 年金と医療の基準を一緒にしないと、事業主の事務負担が煩雑になるとの指摘もあり、改正案のとりまとめは難航しそうだ。(内田健司)

2011年11月15日  読売新聞)

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