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岐路のスキー場

無料のスキー、スノーボードレッスンを終え、記念写真に納まる子どもたち。関係者の危機感を映し出すように後方のリフトは閑散としていた(15日、長野市の戸隠スキー場で)

 岐阜、長野県境にそびえる御嶽山(3067メートル)。そのすそ野にあった濁河(にごりご)温泉スキー場は昨シーズンで閉鎖した。かつてゲレンデだった斜面は静まり返り、リフトのワイヤが風に鳴る音だけが響き渡っていた。

 1995年度には1万7600人が訪れたが、右肩下がりで来客数は減っていった。昨年度はわずか1641人。ピーク時の10分の1となり、「スキー場で働く人たちの人件費さえもまかなえない」と、運営していた岐阜県下呂市は閉鎖を決めた。

 ここだけではない。隣接する同県高山市では10年前、13のスキー場があったが、鈴蘭高原スキー場など6か所が閉鎖、もしくは営業を休止しており、現在は7か所だけになっている。

 日本生産性本部発行のレジャー白書によると、93年のピーク時に1860万人だったスキー人口は現在720万人。同本部の柳田尚也・主任研究員は「少子化や景気の低迷、若者文化の変化などが要因ではないか」と分析する。

 生き残りをかけ、スキー場では新しい施設を造ったり、イベントを開催したり、知恵を絞る。

 苗場スキー場(新潟県湯沢町)では今シーズン、室内プールを「室内ゲレンデ」に改装した。「小さな子供たちに、屋内でスキーの楽しさを知ってもらい、ゆくゆくはゲレンデに出ていってほしい」と、広報リーダーの駒形大樹さんは期待する。未来のスキーヤーを育てようという動きは各地にある。戸隠スキー場(長野市)は今年、4歳から12歳までを対象にスキー、スノーボードの無料レッスンを開いた。

 今年はスキーが日本に伝来してからちょうど100年になる。「100周年をきっかけに、かつてのスキー人気を取り戻したい」。駒形さんら関係者の願いは同じだ。

写真と文 尾賀聡

スキー場に足を運んでもらうためのきっかけ作りとして、今シーズンから始まった雪上バレーボール大会。3月までの第3土曜日に開催される予定(15日、長野市の戸隠スキー場で)

昨シーズンまで営業していた濁河温泉スキー場。雪の上には枯れ草が顔をのぞかせていた(21日、岐阜県下呂市で)

ススキが生え、雪が降り積もった鈴蘭高原スキー場のゴンドラ乗り場跡。撤去するにも費用がかかるために、放置されているという(21日、岐阜県高山市で)

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スキー百年祭では、さまざまなイベントが開催された(1月15日、新潟県妙高市の赤倉観光リゾートスキー場で)

スキー百年祭のイベントの一環として行われた「たいまつ滑走」。100年にちなんで総勢100人が滑走した(1月15日、新潟県妙高市の赤倉観光リゾートスキー場で)

地元のキャラクターだけでなく、大阪から「くいだおれ太郎」も駆けつけた(1月16日、新潟県妙高市の赤倉観光リゾートスキー場で)

スキー発祥100周年を記念して、当時の1本杖スキーが披露された(1月16日、新潟県妙高市の赤倉観光リゾートスキー場で)

スキー発祥100周年を記念して、当時の1本杖スキーが披露された(1月16日、新潟県妙高市の赤倉観光リゾートスキー場で)

リフトが利用できない子供のためにエスカレーターを設置するスキー場も多い(1月20日、滋賀県米原市の奥伊吹スキー場で)

5年前に閉鎖した鈴蘭高原スキー場。リフト券売り場の窓口にはゲレンデが映っていた(1月21日、岐阜県高山市で)

2011年1月31日  読売新聞)


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