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「日本カー・オブ・ザ・イヤー2008-2009」

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 今回もエコカーのことを書こうかと思ったのですが、11月11日に日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)が発表されたので、そちらを紹介します。まず、COTYとは何かというと、当該年の12月までに市販される自動車の中で最も優秀なクルマを選考し公表するもので、一般消費者が自動車購入時に参考にできるものとして1980年から始まりました。

 30年近い歴史の中でその年に業界の話題になったクルマが受賞してきたわけですが、残念ながら軽自動車のCOTY受賞は今のところありません(特別賞の受賞は何度かありますが)。既にニュースで紹介されているのでご存知の方も多いかと思いますが、今年COTYを受賞したのはトヨタのコンパクトカー「iQ」でした。全長3m未満の小柄なボディーは軽量化と環境性能を両立し、かつシートレイアウトの工夫により後席も乗車可能にするなど、軽自動車以上にチャレンジングなクルマに仕上がっています。

 本コーナーでは最近、電気自動車のことを紹介してきましたが、この「iQ」も電気自動車とは違ったアプローチで作られたエコカーですね。最近は核家族化が進み、子供がいない夫婦も増えていますから、究極に割り切った「iQ」は時代に即したクルマといえるかもしれません。ただし、価格は140〜160万円とコンパクトカーとしてはやや高めの設定なので、お財布にはエコとはいえません。もちろんその倍の価格で売りだされようとしている電気自動車は更にお財布の中が厳しくなるクルマですけどね。

 「iQ」がCOTYを受賞したのは、新たな市場を開拓するための新しいコンセプトのクルマということで、納得の結果といえば納得の結果です。価格がもう少し安く設定できたら文句無しなんですが、新開発のプラットフォームなど開発にかなりコストがかかっていますから、実際にはギリギリまで詰めた価格なのでしょう。

 その他の賞はインポート・カー・オブ・ザ・イヤーに「シトロエン・C5」が、特別賞としてMost Advanced Technology賞に「日産・GT−R」、Most Fun賞に「スバル・エクシーガ」、Best Value賞に「ホンダ・フリード」の各車が受賞しましたが、こちらは意見が分かれるクルマもあるでしょう。昨年末に登場した「GT−R」などはスーパーカーなのに777万円と性能比ではリーズナブルなど、COTYに選ばれても良いクルマだと思います。

 しかし、COTYに選ばれたクルマが必ずしもよく売れるかというと、シビアな消費者目線もあり、違ったクルマが売れるんですよね。例えば今年フルモデルチェンジした「ワゴンR」。軽自動車はかなり勢いがありますからね。来年は電気自動車が選ばれるかな?(あ、選考対象は年間500台以上の売り上げが見込まれる車両なので、電気自動車はまだ無理かもしれません。きっとプリウスかインサイトになるでしょう)

 ちなみに個人的にCOTYに選ばれてほしかったのは、BMW・X6です。理由は、エコカーブームで運転する楽しみが味わえるクルマが少なくなってきた現在、SUVでありながらクーペボディーを採用し、ついついドライブに出かけたくなるような雰囲気を持っているからです。(すみません、個人的な趣味全開です)

(2008年11月13日  読売新聞)