(3)両手にポール しゃんと歩く
病後でリハビリ中の人も
東京都板橋区の「イムス板橋リハビリテーション病院」では、2009年秋に「ノルディックウォーク外来」を設けた。スキーのストックのような「ポール」を両手に持って行うウオーキングで、もともとクロスカントリースキー選手が夏場のトレーニングとして取り組んでいた。日本でも、近年愛好者が増えている。
10月上旬の土曜日、同病院を訪ねると、外来には主に心臓病の手術を受けたお年寄りら10人ほどが集まっていた。担当する循環器部長の川内基裕さん(57)は、「手術後、安定してきたら入院中から歩いてもらっています」と話す。
参加者は準備運動を行った後、川沿いの遊歩道、住宅地の道など病院周辺を40分ほど歩いた。川内さんを先頭に、看護師も付き添った。
6年前に心臓の手術をしたという渡戸アサ子さん(84)は、腰椎の骨折もあり、156センチあった身長が148センチになってしまったという。
「片手につえを持って歩くと、どうしても前かがみの姿勢になってしまう。でも外来に参加して両手でポールを持つようになってから、背筋がしゃんとしました。今は150センチあるんですよ」と話し、はつらつとした笑顔を見せた。毎日20分ほど歩いて近くの高齢者福祉施設に出向き、座って行う体操も続けている。「80歳を過ぎて、しかも手術後にスポーツを始めるなんて思いませんでした」
歩いた後、川内さんは一人一人の脈拍を確認する。平均すると、1分あたり5〜10拍増える。「両手にポールを持つので、腕を使う全身運動になる。普通のウオーキングに比べ、エネルギー消費量もアップすることが分かっています」と川内さん。ポールが体重を支え、ひざや腰、脊椎への負担も軽くなるそうだ。
歩くスピードやポールのつき方などで運動の激しさも調整できる。年齢を問わず始められるとあって、体験会も増えてきた。一般社団法人「全日本ノルディック・ウォーク連盟」(大阪市)の公認指導員がいる用具店の一つ、「ウォーキングフォーエバー吉祥寺店」(東京都武蔵野市)では、週3日程度、初心者向けの講習を受け付けている。
「ひざが痛い、腰が曲がった。でも運動したい」という問い合わせが多いと言い、指導員の中島輝明さん(60)は「一人一人に合った方法をアドバイスします。病後でリハビリ中の人でも、医師の許可を得ながら多くの人が取り組んでいますよ。ポールを手に歩くのがまだ珍しく、恥ずかしいという声も聞きますが、ぜひ先駆者になってください」と勧めている。
用具店や体験会も
全日本ノルディック・ウォーク連盟(大阪市)では、全国の用具店や体験会の日程などを電話(06・6344・2277)とホームページ(http://www.nordic-walk.jp)で案内している。日本ノルディックフィットネス協会(仙台市)のホームページ(http://jnfa.jp)でも各地のイベントなどを紹介している。
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