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wave and pay おサイフケータイの国際化

 携帯電話をかざすだけで支払いができるおサイフケータイ。日本の携帯の専売特許ともいえるサービスでしたが、新しい国際規格ができ、いま世界に広まろうとしています。

 そんな中で登場した英語の表現が wave and pay (ウエーブ・アンド・ペイ)です。

 ご存じの通り、wave は名詞では「波」、動詞では「振る」「揺り動かす」、そして pay の方は動詞で「支払う」、名詞では「給料」「支払い」などの意味があります。

 wave and pay という言葉は、携帯電話を読み取り機に近づけてから「振って」「支払う」というおサイフケータイの動作を示しています。それだけでなく、こうした支払いのシステムそのものを意味する言葉としても使われています。

 英語辞書 Macmillan (マクミラン)のオンライン版では、wave and pay について次のように説明しています。

  a system of paying for goods or services by moving a credit card or mobile phone in front of a special machine which automatically reads the information

  情報を自動的に読み取る特別な装置の前でクレジットカードや携帯電話を動かし、モノやサービスに対する支払いをするシステム

 マクミランによると、wave and pay という言葉が使われ始めたのは5年ほど前。今のところ、形容句や名詞として使われることがほとんどです。

 具体的な使用例を見てみましょう。

 例えば、今年1月25日付の英紙フィナンシャル・タイムズ。ここでは形容詞的に使われています。

  Apple is expected to install "wave and pay" technology for the next version of its iPhone.

  アップルは次世代のアイフォーンに「ウエーブ・アンド・ペイ」の技術を組み込む見込みだ。

 10月3日付英紙テレグラフの見出しでは wave and pay が名詞として使われています。

  Mass adoption of wave and pay years away

  ウエーブ・アンド・ペイが大量に採用されるのはまだ何年も先

 動詞としての使用例はまだないようですが、動名詞として使われるケースは出てきています。例えば、上記の英紙テレグラフの記事の中には次のような一文があります。

  A Paypal executive has ruled out the mass adoption of waving and paying
for products using mobile phone like credit cards for at least three years.

   (インターネット決済サービス企業の)ペイパルの幹部は、携帯電話をクレジットカードのように使うウエーブ・アンド・ペイについて、少なくとも今後3年間は大量に導入する可能性はないとしている。

 ここまでくると、動詞として使われるのは時間の問題かもしれません。

 日本語でも英語でも次々と新語が生まれている情報通信の分野。おサイフケータイもその一つですが、これからも様々な新しい表現が出てくるのは間違いないでしょう。

筆者プロフィル

大塚 隆一
1954年生まれ。長野県出身。1981年に読売新聞社に入社し、浦和支局、科学部、ジュネーブ支局、ニューヨーク支局長、アメリカ総局長、国際部長などを経て2009年から編集委員。国際関係や科学技術、IT、環境、核問題などを担当
2011年12月7日  読売新聞)

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