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女性の「美しくありたい」形に

土居健人・トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長

土居健人(どい・けんと)さん

 女性肌着の世界トップメーカー、トリンプ・インターナショナル(本社・スイス)は今年で創業125年を迎えた。

 1886年にドイツのコルセット工場で事業をスタートさせ、現在、世界55か国に生産拠点を持ち、120か国以上で商品を販売。女性のシルエットを時代とともに美しく作り上げてきた。トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長の土居健人さんは「女性が美しく、自信を持って前向きに生きることを応援したい」と語る。

日本に専属チーム 好みと着用感追求

 当社は、発祥の地であるドイツのモノづくりの伝統を受け継いで、品質と細部にまでこだわった商品作りを続けています。特に日本の消費者は機能性とデザインの両面において、非常に繊細で高いレベルの商品を求めており、日本で展開する商品は日本人の好み、体形に合うようすべて専属チームで作っています。他国と比べて、レースをふんだんにあしらった、かわいいデザインの人気が高いのも特長です。

 世界に拠点を持つ強みを生かし、他地域で人気を得た商品群を日本市場に合わせて展開することも差別化につながると考えています。今秋発売した「シェイプセンセーション」もその一つ。これは、ヨーロッパで昨年ヒットした、ファッション性が高く気軽に使えるという、従来の補正下着とは違う新たな商品カテゴリーです。逆に日本でヒットした商品をアジアやヨーロッパなどでも展開しています。

 社長に就任して1年4か月たちました。この間、大きな転機となったのは、今年3月の東日本大震災です。震災後、しばらくして被災地から「ブラジャーが足りない」という声が寄せられました。商品とともに採寸などを行う販売員が現地に赴いたところ、大変喜んでいただきました。「女性はどんな状況でも美しくありたいと思う」と、改めて考えるようになりました。

 企業として「日本の人口の約半数を占める女性が毎日着用し、より美しくなる商品を作っている」という事業の重要性と意義を感じています。女性肌着は文化として女性を勇気づけるものでもあり、当社の社会的使命と役割を楽しみながら仕事をしています。

 外資系企業を何社か経験しましたが、仕事の基礎を築けたのは20代の時。いきなり分厚い英文の資料を渡され、担当商品・ブランドをどのように成長させるべきか、リポートの作成を命じられました。

 表層を見ているだけでは何も発見できません。「消費者の心理はどこにあるのか」「何が満たされていないのか」「このビジネスは何が問題で何がチャンスなのか」――。自然とビジネスに対する好奇心が膨らみ、常に現状を把握し、課題を見つける習慣ができました。業界は変わっても消費者を中心に考えると通じる部分があります。

お客様中心主義へ 組織を機動的に

 今、お客様のファッションの好みや年代など、お客様のタイプに合わせたブランド・商品作りを機動的に行う組織作りを進めています。狙いは「お客様中心主義」をどう形にするかです。いつまでも満足され、支持される商品を作り続けます。

 新たなサービスを形にした商品をお客様に使っていただき、「よくぞ、こういう商品を作ってくれた」と言っていただける時が一番うれしいです。(談)

どい・けんとさん
 1981年、甲南大学経営学部卒業。プロクター&ギャンブル・ファー・イースト・インク(現P&Gジャパン)グローバル・マーケティングディレクター、ボーダフォン執行役員常務マーケティング統括部長、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント執行役員シニアバイスプレジデント、リーバイ・ストラウスジャパン社長を経て昨年8月から現職。
トリンプ・インターナショナル・ジャパン
 トリンプ・インターナショナルの日本法人として1964年に設立。資本金26億円。従業員数3011人(昨年末現在)。「天使のブラ」「恋するブラ」などの人気商品を展開する。
2011年12月13日  読売新聞)

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