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アピールポイント見当たらず自信持てない

質問

 就活でのアピールポイントが見当たりません。他人に勝る点などないですし、誇れる体験も思い出せません。大学も三流です。自信が持てず嫌になりました。こんな自分でも、企業に求められる人材になれるのでしょうか。(大学3年男子)

回答

 社会人の実像に迫ってみては?


 正月気分は抜けましたか。会社説明会に参加申し込みしたり、エントリーシートに書く文言を考え始めたり……という人がいる一方、行動を起こせず、今回の質問と似た心境の持ち主も少なくないようです。

 自信を持てないあなた。こんな想像をしてください。東京・新橋駅前。「オジサンの聖地」(笑)と呼ばれ、「街の声」を聞くテレビ番組の企画で、酔ったオジサンたちが、マイクに向かって言いたい放題語ってますよね(笑)。あの空間でオジサンたちに以下の質問をしたとしたら……。

  1. 今の仕事を選んだきっかけは?
  2. 今の仕事にやりがいを感じていますか?

 さて、どんな答えが返ってくるでしょう。私は、17年余の新聞記者生活で大勢の社会人と会った経験から、こう想像しています。

  1. の答え→「偶然」「たまたま」が6〜7割
  2. の答え→「知らない業界で初めは苦労したけど、今は面白いよ」「大変だけどさ、結構やりがい感じてるな」の合計が6〜7割

 どうでしょう。今の仕事に出合ったのは偶然。やってみたら結構面白い――社会人の実像は、案外こんなところだと思いますよ。周りの社会人に何人か聞いてみてはどうですか。

 公開中の映画「RAILWAYS」で、念願かなって電車の運転士になった若手社員が、愕然とする場面がありました。彼は、三浦友和演じる先輩(主人公)も、自分と同じく夢をかなえて運転士になったとばかり思っていた。ところが実際は、経済苦のため高校卒業後すぐに働かねばならず、カメラマンになる夢をあきらめ、たまたま地元の鉄道会社に入ったのだった。そんな主人公が、やっているうちに運転士の仕事が好きになり、誇りを持ち、何ら悔いはない――と後輩に語りかけます。

 冒頭の質問に戻りましょう。「他人に勝る点」があり、「誇れる体験」もあり、大学は一流――そんな就活生、何人いるでしょう。3要素を満たすと信じて疑わない自信満々の人がいたら、それはそれで危険です。油断大敵。自信がないので、努力する、謙虚なぐらいがちょうどいいのです。

 あなたの「他人に勝る点」「誇れる体験」→ひとりで考え込んでいてはダメ。以前にお話ししたかもしれませんが、長所は当の本人が気づいていない場合が多い。自分をよく知る身近な人をつかまえて、あなたのとっておきエピソードを挙げてもらいましょう。他人に圧倒的に勝っていなくて構いません。学業だけとか、部活だけとか分野を限定しないことです。

 「大学も三流」→大学を何流とランク付けする根拠は? 百歩譲ってランクがあるとして、「一流大学生は楽に就職できる。三流大学生は努力しても無理」という構図は、絶対にありません。むしろ、「我が大学から初めての入社を勝ち取ってやる。そのために、できることは何でもやるぞ」という意気込みを持ってほしい。そして、何社もエントリーした中の1社に合格すればよいのです。

 人はとかく、ないものねだりをします。例えば文系の人なら「理系の人は専門性をアピールできてうらやましい」、院生なら「学部生は若いから有利だよなあ」という具合。逆の立場の人が自分をうらやんでいる可能性に、本人は気づいていません。

 おまけのように付け足します。「興味を持てる職種とまだ出合えてない」という人に、ひとつ提案が。書店へ行き、「新書」の棚の前に立って背表紙を順に眺めてみてください。そして、「よくわからないけど、何だか気になった」数冊を買う。二十数年前の私と同じ貧乏学生なら、古書店で同じことをしても構いません。105円均一の棚なら10冊買ったって1050円(笑)。買い求めたら全部読もうとせず、斜め読みで十分。仕事選び、仕事探しのヒントが得られるはずですよ。

 以上申し上げたことは、観念論ではありません。勝負にうって出る前に気合で負けていてはモッタイナイ。行動自体は地道でいいのです、以前に提案したことなどもヒントにひとつずつ、行動を起こしてみてください。仕事もそうですが、就活も日々の地道な積み重ねあるのみです。


 回答者 室 靖治
 読売新聞社人事部採用担当。この年末年始は珍しく一度も風邪を引きませんでした。小さなことに感謝、感謝の日々。


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2012年1月11日  読売新聞)
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