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エントリーシート、どうやってアピールすれば?

質問

 エントリーシートを書き始めるようになり、悩んでいます。「学部での専攻」「学生生活で打ち込んだこと」という設問がある場合、最も打ち込んだのは学業なので、内容が重なってしまうのです。書く材料が豊富にある人がうらやましい。どうアピールしたらいいでしょう。(大学3年女子)

回答

 「宝の持ち腐れ」と「伝える力」に注目!


 エントリーシート(ES)についてのアドバイスは、採用デスク原田の得意分野なのですが、原田は別業務に追われているので、今回は私が担当します。あ、宣伝めいて恐縮ですが、原田の書いた「勝てるエントリーシート 負けない面接テクニック――すべらない就活」(中央公論新社)はオススメです。立ち読みでもよいので一読あれ。

 さて本題ですが、ESに学業のこと、もちろん書いてよいのです。

 ただ、申し上げたいのは「宝の持ち腐れ」になっていませんか、です。
書くべきことはたくさんあるのに、「こんなこと、エントリーシートに書くに値しない」と、独自に判断してごみ箱に投げ入れてしまっている。ああ、モッタイナイ。

 宝の持ち腐れで思い出すのは、記者時代に取材した「地元学」の専門家に聞いた話です。地元学とは、地域にある有形無形の財産で、長らく忘れ去れていたものに再び光を当てる試みのこと。たとえば人里離れた地方の人たちが、都市部のまねをしたって意味がない。むしろ、我が地域がよそに負けない特色に目を向けて「うちは全国で最も星がきれいに見える町」などとアピールすれば、観光客が増える。この専門家は「ないものねだりよりも、あるものさがしを」と語っていました。皆さんにも、同じ言葉を送りたいのです。

 宝を見つけたら、次に大事になってくるのが「伝える力」です。おなじみ池上彰さんのミリオンセラー「伝える力」(PHPビジネス新書)は、若手ビジネスマン向けに書かれたそうですが、皆さんが直面する就活にも、大いに役立ちます。

 ESは、正確に書くのは大前提ですが、それだけではダメ。読み手が興味を持ってくれる、つまり相手に「伝わる」表現上の工夫が欠かせないのです。

 恥をしのんで卑近な例を挙げましょう。私は、鉄道が大好きです。鉄道バンザイ……あ、読み続けるのが嫌になりましたか(汗)。我慢して読んでください。もしこの私が、ESに鉄道について書くとしたらどうするか。「私が最も好きな電気機関車は、旧型機の最後を飾るEF58です」→事実ですが(笑)、これではダメ。むしろ「鉄道好きのおかげで、幼い頃から全国の地名に興味を持った」とアピールする手はどうでしょう。実際、初対面の人と話す際、「ふるさとの最寄り駅は?」と聞けば、たいてい場所がわかります。おかげで、社会人になってかなり得をしています。こんな風に語れれば、「あいつは鉄道に詳しいだけで視野が狭い」と片付けられることもないでしょう。

 ESにおける「伝える力」の大切さ、卑近な例でしたが(笑)お分かりいただけましたか。

 繰り返しますが、皆さんはESや面接で持ち出せば輝く「宝」を、必ず持っています。それらが宝であることに気づけるかどうか、さらに、相手に興味を持ってもらえる伝え方ができるかどうかが重要なのです。

 宝探しは、一人でやっていてはダメ。周りの人にアシストを求め、雑談の時間をとってもらいましょう。そうする中で、自身では気づかなかった長所に気づくはずです。

 私が当欄を担当するのは今回が最後となりました。せっかくの機会ですから、私がこれまで読んだ本の中で、「伝える力」と同様に、「わかりやすく書く」「伝わるように書く」ことを学ぶうえで役立ちそうなオススメ本を紹介しましょう。いずれも新書です。気が向いたら、いずれか1冊でも手にとってみてください。

 分かりやすい日本語の書き方(大隈秀夫著、講談社現代新書)
 目と耳と足を鍛える技術(佐野眞一著、ちくまプリマー新書)
 わかりやすさの本質(野沢和弘著、生活人新書)
 心に届く文章づくり(猪狩章著、岩波ジュニア新書)

 皆さん、体に気をつけ、有意義な就活を!


 回答者 室 靖治
 読売新聞社人事部採用担当。2月からは研修担当になります。


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2012年1月25日  読売新聞)
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