現在位置は です

本文です
陸自日誌

(15)自信回復のお手伝い

◆5月6日(金)


 本日は宮城県大和(たいわ)町の大和駐屯地で即応予備自衛官の活動を視察しました。食材の積み荷降ろしやゴミ処理、浴場清掃などで計10人が作業。20代の若手から60歳の方まで多様です。

 捜索活動などの第一線でない「裏方」で、期待外れでないか心配しましたが、みな部隊に溶け込み、一生懸命作業中です。

 話をした4人とも失業中でした。会社が津波で流されたり倒産したりで、震災直後で求人もなく困っていたところに招集を受け、大変助かったそうです。

 ただ、招集終了後はどのように生活するか不安で、就職援護をしてもらえると大変助かる、とみな希望していました。これまでは、勤務先からどのように理解を得るか、「入り口」に関心が集中していましたが、招集後の就職という「出口」にもニーズがあるようです。

◆5月8日(日)

 総監の随行で、岩手県大船渡市で39連隊の活動を視察。

 中隊長の話では、住民は当初、がれきの山を前に、ぼう然として無気力になっていました。ところが、自衛隊が片づけを進めていくと表情が明るくなり、そのうち片づけを手伝うようになったそうです。諦めてしまった人たちに少しでも変化を見せ、「不可能はない」と感じてもらうことで、安心感も自立心も生まれるようです。がれきを片づけ、昨日とは少しでも違う姿を見せる。よく調べて、昨日よりもニーズに応える物資を配る。「自分たちでできる」という自信を取り戻してもらうまで、あともう一息と感じました。

 地元の高校に置かれている39連隊の指揮所の掲示板には、写真や手紙が貼られています。その中に、迷彩服の自衛官の絵がありました。心なしか、姿が大きく見えます。

 絵を描いた少年は、震災後、黒々とした大津波しか描かなくなり、お母さんは本当に心配したそうです。それが、自衛隊の活動を毎日見るうち、今度は自衛官の絵をたくさん描くようになったそうです。お母さんは少し安心したようでした。〈陸上自衛隊東北方面総監部の須藤彰政策補佐官の日誌から抜粋しています〉
(2011年6月15日読売新聞掲載)

 ◇須藤 彰(すどう・あきら) 1998年東大文卒。防衛庁(現防衛省)入庁、英ケンブリッジ大国際政治学部修士修了、運用支援課部員、陸上自衛隊東北方面総監部政策補佐官。東京都出身。

 【関連記事】被災地で自衛隊の人たちは何を食べていたのですか?

2011年6月30日  読売新聞)


現在位置は です


今週のPICK UP

PR

国内線 空席照会・予約はこちらから ANA
出発空港 到着空港
搭乗日 出発時刻
搭乗クラス