大阪国際女子マラソン、重友梨佐「マイペース」で独走V
陸上・大阪国際女子マラソン(29日・大阪長居陸上競技場発着)――マラソン挑戦2度目の
2位はタチアナ・ガメラシュミルコ(ウクライナ)、3位は野尻あずさ(第一生命)。3度目のマラソンだった福士加代子(ワコール)は2時間37分35秒で9位。今大会で第一線を退く嶋原清子(セカンドウィンドAC)は5位、アテネ五輪7位の坂本直子(天満屋)は10位だった。北京五輪金メダルのコンスタンティナ・ディタ(ルーマニア)は11位。(スタート時=曇り、気温5・5度、湿度56%、西北西の風1・3メートル)
重友は前だけを見て走り抜いた。「とにかく頑固」と周囲が評する性格そのままに。最後まで一度も振り返ることなく、競技場の直線で初めて笑顔を浮かべた。北京五輪以降の日本女子では最速の歴代9位の好タイムでフィニッシュ。待望の新星が誕生した。
1メートル68の長身。すらりと伸びた足が滑らかに回転するピッチ走法で先頭を引っ張った。22キロ付近でペースメーカーが離脱した時には、トップ集団は福士と2人だけに。最大のライバルがぴたりと背後についた。
24歳はしかし、福士の存在を気にしていなかった。「自分のペースで走ることだけを考えていた」。福士の失速も「福士さんへの声援が消えた」ことで気づいた。15キロ以上を一人で淡々と走り、五輪3大会連続で代表を送り出してきた武冨監督も「集中力と粘り強さがあった」とたたえた。
武冨監督との出会いは小5の時。岡山県内の市民マラソンで「体の軸がぶれない。天性の力だよ」と声をかけられた。岡山・興譲館高から天満屋に進み、五輪代表の先輩の姿を見て成長。シドニー代表の山口衛里から指導を受け、アテネ代表の坂本直子と練習し、北京大会では中村友梨香の付き添いで大舞台の空気を味わった。
「頑張れば私でも五輪に届く。そう信じて努力できる環境が私を成長させてくれた」。夢の五輪代表に手をかけたヒロインは、あくまで謙虚に言った。(佐藤謙治)
レース経過
序盤からハイペースの展開となり、15キロ過ぎに坂本、20キロ過ぎに野尻が遅れた。中間点を過ぎてから重友と福士の一騎打ちとなったが、26キロ過ぎに福士が失速すると重友の独走に。30キロ以降はややペースが落ちたが、後続と大差をつけてそのままゴールした。
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