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今年の目標は美文字

 三連休も終わってしまい、テレビ番組も通常編成に戻り、さすがに正月気分も薄れ、日常が戻ってきた。ドンナの放送も今週からスタートした。

 最初の週ということで、アナウンサーと私とで、「今年の目標」をパネルに書いたのだが、色々考えた結果、今年の私の目標は「美文字」と掲げさせていただいた。

 何度もこの欄でネタにしているのだけれど、私の字は、今や「ちょっと汚い」どころではなく、限りなく汚い。一定期間が過ぎれば手帳の予定も解読できなくなるし、お店で自宅の住所と名前を書いて配送を頼むと、たいていどこか一か所、解読を間違えたとおぼしき見知らぬ文字が書かれてくる。

 それどころか、もはや命に関わるレベルと言っても過言ではない。大袈裟な話ではなく、たとえば「飲むとアレルギーが起きるお薬」とかをメモにして肌身離さず持っていたとしても、救急車で運ばれた時に誰にも解読できないと思われるのである。年明けから始めた加圧トレーニングで、インストラクターに「食事日記をつけて持ってきてください。インストラクター全員で検討して指導しますから」と言われ、1週間食事日記をつけたのだが、折角つけた日記を提出しても、おそらくインストラクターの前で音読しないことには意味は通じまい……。

 子供のころは、大人になったら美文字までいかずとも、大人らしい文字が書けるようになるのだろうと思っていたが、それは幻想であった。文字はまったく進化せず。いや、ここ20年くらいは、パソコンや携帯端末の普及で文字を書く機会が著しく減ったこともあり、進化しないどころか、むしろ退化すらしているように思える。

 しかし、そんな私が言うのもなんだが、私だってゆっくりじっくり文字を書けば、それほどひどい字にはならないのである(自分比)。先日「PON!」のスタジオでも、筆ペンを使って文字を書くという企画の時に書いた文字は、ゆっくり書いたこともあって、青山浩之先生にほめていただいたのだ(自分比再び)。

 だが!私がきれいに書きたいのはそういうじっくりゆっくりの文字ではなく、さららっと急いでメモを書く時の文字なのである。多少汚くても、理解出来る程度の文字。人に伝えるという文字としての本来の役目が果たせる文字を書きたいのである。

 青山先生にいただいたテキストを見る限り、書き方を覚えなくてはいけない文字というものは、限りなく多いように思える。この1冊をマスターし、それから、急いでいても意味の通じるメモを書けるようになる日が来る日はいつのことだろうか。道は果てしなく遠いような気がするのだが……。

2012年1月13日  読売新聞)
プロフィール
鈴木美潮  すずき・みしお
読売新聞東京本社文化部記者
 1989年入社。横浜支局を経て政治部。官邸、社会党、外務省などを担当後、Yomiuri Weekly編集部に。2002年から政治部で保守新党、自民党などを担当。美空ひばりと特撮ヒーローの熱狂的なマニア。

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