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グラミー賞 新進に期待

圧倒的な売り上げを誇る英国のアデル
批評家の評価が高いボン・イヴェールのジャスティン・ヴァーノン

 米国音楽界で最高の栄誉とされる第54回グラミー賞の授賞式が、12日(日本時間13日)行われる。(文化部 桜井学)

 注目を集める主要4部門では、英国の女性シンガー・ソングライター、アデルら新進のアーティストが候補に挙がっている。顔ぶれを紹介しよう。

   今年は78部門 音楽関係者の団体「全米レコーディング芸術科学アカデミー」の会員の投票によって決まる同賞は1958年度以来の歴史を持つ。曲やアルバムごとに様々な賞があり、今年は78部門で競われる。毎年、大きな話題となるのは「最優秀アルバム」、個別の曲が対象となる「最優秀レコード」、ソングライターに贈られる「最優秀楽曲」、「最優秀新人」の4部門だ。

ほかのアーティストの作品への参加も多いブルーノ・マーズ
日本でも人気のレディー・ガガは最優秀アルバム部門などにノミネート

 単に売り上げや人気で賞の行方が決まるわけではないのがポイント。昨年のアルバム部門では、知名度の高いレディー・ガガらを抑え、カナダ出身のロックバンド、アーケイド・ファイアが受賞している。スター歌手のジャスティン・ビーバーらが候補になった新人部門でも、ジャズ系の女性アーティスト、エスペランサが選ばれている。

    新しい潮流 今年の主要4部門では、アデル、ブルーノ・マーズ、ボン・イヴェールの3組がそれぞれ3部門で候補になっている。

 アデルは2009年のグラミー賞で最優秀新人に輝いている。11年発表の2作目のアルバム「21」が、世界で1600万枚以上という大ヒットを記録。ソウルフルな歌声で人気を集めている。

 ブルーノ・マーズは、昨年のグラミーでも多数の部門でノミネートされた米のシンガー・ソングライターだ。ほかのアーティストのプロデュースも行っており、アルバム部門候補の「ドゥー・ワップス&フーリガンズ」は初アルバムとなる。親しみやすい曲作りが光る。

 新人部門などに名前を連ねるボン・イヴェールは、米のシンガー・ソングライター、ジャスティン・ヴァーノンを中心とするバンド。フォーク的な味わいがありながら、曲の構成は複雑で批評家からの評価は高い。

 これら3組はアルバム1〜2作目の段階で候補に挙がっており、音楽界の新しい潮流を象徴している。

 主要4部門で最優秀楽曲部門に名前の挙がったカニエ・ウェストは、今回最多の7部門にノミネート。日本でも人気のレディー・ガガはアルバム部門などの候補となった。

    授賞式中継 授賞式の模様は、WOWOWが13日午前9時半から生中継する。同日午後10時から、字幕付きの再放送もある。ラジオでは、東京のInterFMなどで現地からのリポートを放送する。

 またノミネートされた楽曲を集めたCD「グラミー・ノミニーズ2012」(ユニバーサル)=写真=も発売された。

伝統的なもの新しく

 音楽評論家の大友博氏と、今年のグラミー各賞を予想してみた。

 ――今年は昨年の109部門から、78部門へと賞の数はぐっと絞り込まれている。

 「ロック、ポップからクラシック、ビデオの賞まで、対象となるジャンルの幅広さを維持し、男女別に与えられていた賞を一本化するなどして、部門を減らした。より分かりやすく、それぞれの賞の重みを増す狙いが感じられる」

 ――主要4部門の顔ぶれはどうか。

 「注目は3部門でノミネートのボン・イヴェール。米国のルーツ音楽を踏まえた音作りで、いかにもグラミーの審査員に気に入られそうだ。マムフォード&サンズは英国のバンドだが、やはりフォークのサウンドを取り入れている。新人部門で候補になっているザ・バンド・ペリーもカントリー。現在の音楽界には、そういった伝統的なものを取り入れた上で、新しい音楽を作っていこうという潮流がある。候補の顔ぶれを見るとそれが反映されている」

 ――ほかのアーティストはどうか。

 「アデルの楽曲は粒ぞろいで、そつがない。何らかの賞は取るだろう。また、ガツンとしたロックも入ってほしいなという希望も込めて、アルバムには、フー・ファイターズとした。ブルーノ・マーズはプロデューサーでもあり、裏方としての顔もあるので、審査員の共感を得そうだ」

 ――当日の見所は?

 「グラミーは、当日のパフォーマンスも、単に人気者が歌うだけではなく、音楽の歴史を反映したり、ユニークな組み合わせが見られたりと、質の高いものになるはず。また、主要4部門以外の賞にも注目してほしい」

2012年2月3日  読売新聞)

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