こっちの柱は甘〜いぞ!?
重厚な石造りの建物が、甘〜いケーキになったらどうする? そんなおとぎ話のような光景を3月、コレクション取材で訪れたパリで見かけた。
かつて証券取引所として使われていた由緒ある建物の正面に並ぶ石柱14本が、ホイップクリームを思わせる布でカラフルに彩られ、近寄るとバニラの香りが漂ってきそう。通りがかりのパリっ子たちも驚いた様子で、記念撮影をしたり、携帯電話で知らせたり。
しかし、何のため?
パリコレに合わせて、この建物で行われた洋服と雑貨の見本市のため、日本人のアクセサリーデザイナー、ワカマツタダアキさんが飾り付けた。
「黒っぽい服で会場を訪れるファッション関係者をアリに見立て、アリが群がるおいしそうなケーキを作りました」
ワカマツさんは笑顔でそう話す。1977年、東京生まれ。ファッション誌のモデルを経て、2002年にアクセサリーブランド「Q―pot.(キューポット)」を設立し、マカロンやケーキなど、大好きなお菓子をモチーフにネックレスや指輪を作ってきた。
「夏はアイスクリーム、バレンタインはチョコレート。商品展開は季節感が大切」という話しぶりは、デザイナーというよりパティシエのよう。
かわいらしく、甘い雰囲気のアクセサリーが日本で女心をとらえた昨年、「世界の反応も知りたい」とパリの見本市出展を計画。イベント主催者と企画を話し合ううち意気投合し、会場演出も頼まれた。
「トントン拍子で話が進んでビックリ。大変だったけど、それ以上に楽しかった」。見本市に出品した漆黒のスイーツアクセサリーも、「かわいい」と好評だった。
「かわいらしいもの、甘いものを見ると、自然と笑顔になるのは世界共通。そんな気持ちがふっと緩み、会話のきっかけになるようなアクセサリーを作っていきたい」。そう抱負を語った一瞬、終始笑顔だった表情が引き締まった。(生活情報部 斎藤圭史)
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