ニット大国の提案
秋冬東京コレクション
新潟、山形、大阪、そして東京……。日本は、優れた技術を持つ産地が点在するニット大国だ。ハイテクを駆使して精密なニット製品を生産するメーカーも多く、欧米の高級ブランドからの注文も多い。
3月下旬に行われた秋冬東京コレクションでも、多くのブランドが「日本のお家芸」の力を借りて、ニットの新しい表情を引き出そうと試みた。
例えば、鎧を思わせる重厚な装いをニットで表現したソマルタ。編み地に熱を加えて圧縮し、フェルトのような風合いを出したり、収縮具合の異なる編み地を組み合わせて服の凹凸を強調したり。デザイナーの広川玉枝さんは「凛とした強さをニットで表現したかった」と話し、10年以上、協力してもらっているニット工場と打ち合わせを重ねたという。
アキラ・ナカも、素材が徐々に変化していくグラデーションニットで観客を魅了した。ニットがすそに下がるに従って布地へ変わるスカートや、レザーからニットへ徐々に変化するジャケットを披露した。
アグリ・サギモリのニットも凝っていた。太い糸でザックリと編んだワンピースの表面に極薄の鹿革をはり付け、革から編み目がうっすらと浮かび上がるデザイン。リツコシラハマは、ドレスの肩部分や帽子を造形的なニットで飾りつけ、エレガントな雰囲気を強調した。
「ルノアルの女に毛糸編ませたし」。俳人の阿波野青畝はニットの柔和な雰囲気を強調してそう詠んだ。ところが、東コレで発表されたニットは、印象派風を遠く離れて、水墨画風あり、抽象絵画風ありと実に多種多彩。産地の確かな技術に支えられ、デザイナーたちはニットというキャンバスに思い思いの絵を描いた。(生活情報部 上田詔子)
【関連特集】東京コレクション |
- 流行 創作には無縁「アンダーカバー」高橋盾さん (2012年2月1日)
- [男の基本]ステンカラーコート (2012年1月30日)
- 花咲く肩掛けバッグ (2012年1月25日)
- 三つ編み 進化形 (2012年1月18日)
- 街着にスポーツウエア (2012年1月16日)
- みんなのプリーツ 20年 (2012年1月11日)
- 今年は快適で活動的に (2012年1月4日)
- 足元もこもこ 楽しい冬 (2011年12月28日)
- 大ぶり長財布 バッグ風も (2011年12月26日)
- アニヤ・ハインドマーチ (2011年12月21日)
ピックアップ
トップ
|
|