「つなぎ」という名の定番
フランス語で「サロペット」や「コンビネゾン」、あるいは英語で「オーバーオールズ」――。そう呼ぶだけで、おしゃれな雰囲気になるから不思議だ。要は服の上下がつながった「つなぎ」のこと。
この夏、そのつなぎ姿の若い女性が街で目立つ。もっとも、作業着を連想させる汗くささとは無縁で、デニムに加え、花柄やしま柄、格子柄など多彩だ。
キャミソールと半ズボンをつなぎ合わせたような「コンビネゾン」を2週間前に買ったばかりという看護助手(18)は、「軽くて体を締め付けないので、着ていて楽。淡いデニムが涼しげでしょ」と満足げな様子。
胸当ての付いたズボン「サロペット」を子ども服の店で買った会社員(23)は、「鮮やかな赤い色が気に入った。どんな服にも合わせやすいのが魅力」とか。
胸当て付きのズボンは19世紀末の英国で、子どもの遊び着として登場。1911年に、米国のジーンズブランド「リー」が、「ビブ(胸当て)・オーバーオールズ」の生産を始めた。丈夫なデニムの生地を使い、鉄道員、農民らの作業着や日常着として広がった。
こうしたつなぎを、今の若者たちは部屋着感覚でさらりと着こなす。過酷な労働を知らない豊かな時代に生まれ育った若者に、「つなぎは作業着」と言っても通じないのかもしれない。現代のつなぎはリラックスした雰囲気を演出してくれるおしゃれ着なのだ。(生活情報部 上田詔子、写真は東京・渋谷で中司雅信撮影)
(2009年7月1日 読売新聞)
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