上質・洗練 家具に新風
ファッションや宝飾品の有名ブランドが、相次ぎインテリアの世界に進出している。4月中旬にイタリア・ミラノで開かれた家具と工業デザインの国際的な見本市「サローネ」の報告を聞いていても、そうした傾向がうかがえた。
ブランドの美意識を服やアクセサリーだけでなく、家具のデザインなどを通して、生活全般に押し広げたいという思惑があるのだろう。
例えば、見本市に初参加したエルメス。イタリアの有名な工業デザイナー、エンツォ・マリさんらを起用し、家具のコレクションを発表した。上質な革を使った椅子などは、シンプルながら気品がある。
イタリアのジョルジオ・アルマーニも、「アルマーニ/カーザ」というブランドで洗練された家具を披露した。「ホリデー・ホーム」というテーマで、チェリー材を使った書棚などの家具類は無駄な装飾をそぎ落とし、落ち着いた雰囲気。ミラノコレクションで発表している服に通じるトーンを家具にも反映させた。
インテリア関連企業がファッションデザイナーを起用して新商品を発表するケースも。イタリアのモザイクタイルメーカーのシチスは今回、フランス人デザイナーのクリスチャン・ラクロワさんに依頼して装飾的な家具類を披露した。
デンマークのジョージジェンセンのように、食卓で使う水差しやトレーなど生活関連の新商品の発表を、サローネ期間中に行う宝飾品ブランドも。CEO(最高経営責任者)のウルリック・ガーデ・ドゥエさんは「時代を超えたシンプルでエレガントなデザインを、生活関連の商品でも表現している」と話していた。
ミラノコレクションに参加している日本のアンテプリマは、ブランドの代表的な商品であるワイヤーバッグの素材を使ってシカの頭の形のランプシェードや豚の貯金箱の形をしたバッグを発表した。
ファッションデザインの持つ発想の自由さや素材の使い方は、インテリアの世界の可能性をも広げているようだ。(編集委員 宮智泉)
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