今再び「ネイビーブレザー、ボタンダウン」アイビーに光
石津謙介さん生誕100年
三つボタンのネイビーブレザーにオックスフォード地のボタンダウンシャツ、そして細身のコットンパンツ――。
1960年代、ダークグレーのスーツしか知らなかった日本の男性に、石津謙介さんはそんなスタイルを紹介した。名付けて「アイビー」。「VAN」という服飾ブランドを設立し、米国東部の名門大学群「アイビーリーグ」の学生の質朴な装いをヒントにして、戦後の男性ファッションをガラリと変えた。
2005年に93歳で亡くなるまで、石津さんは服のデザインだけでなく、食や住まい、そしてスポーツなど、ライフスタイルを幅広く提案し続けた。晩年は服飾評論家としても活躍した。
今年は、石津さんの生誕100年に当たり、彼の業績を振り返る様々なイベントが開かれている。例えば、東武百貨店池袋店(東京)では20日まで、特設コーナーで、最新のアイビーファッションや、VANが過去に売り出した商品などを展示。そうした装いの魅力を紹介した写真集など、出版も相次いでいる。
石津流アイビーの遺産は、若手デザイナーにも影響を与えている。東京の人気ブランド「ビューティフルピープル」は、この秋冬のコレクションで、「VAN」と協業し、21世紀のアイビーファッションを提案。デザイナーの熊切秀典さんは「アイビーは今も新鮮で刺激的」と話す。米国のデザイナーも、日本発のアイビーに触発された作品を発表している。
しかし、なぜ今、アイビー?
「メーカーの仕掛ける目新しさや奇抜さに左右されず、長い間着られる服を選び、自分なりの個性を表現したいという人が増えていることが影響している」と、石津さんの長男で服飾評論家の石津祥介さんは話す。
おしゃれな人より、しゃれた人になれ――。石津さんは生前、何度もそう口にしていた。古い価値観にしがみつかず、自由で個性的な発想を大切にしてきた彼の生き方は、アイビーファッションと共に色あせず、現代人の心にも響き続けている。(生活情報部 竹之内知宣)
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