(7)1打席の重み、再認識ヤンキースとメッツ。ニューヨークの人気球団同士の戦いは、サブウエー(地下鉄)シリーズとして有名で、チケットは連日完売の盛況ぶり。ヤンキースは交流戦を、対メッツ3連勝で締め、マンハッタンのシンボル、エンパイアステートビルはヤンキースカラーにライトアップされた。 だが松井はそんなお祭り気分とは無縁で、歯がゆい交流戦だった。19日からの9試合はすべて敵地で、指名打者(DH)制がなく、手術明けのひざを心配したチームは守備につかせない。待っていたのは、メジャー初めての9戦連続の代打待機だった。 12日の35歳の誕生日にバースデー・アーチ。翌々日にはメジャー屈指の左腕、サンタナから10号2ランを打った。だがその良い手応えも、その後1日1打席の代打専門となると、実戦感覚とともに遠のいて行った。 だから、1球にこだわった。「打席で、いかに感覚を研ぎ澄ますことができるか」。時には8点リードの九回という、勝敗に関係ない場面もあった。そこで、最後は左飛に倒れたが11球もしがみついた松井は改めて思う。「1日、4打席あるって、ありがたい。1打席の大切さ。この代打と同じぐらいの気持ちを継続させたい」 今週から、ア・リーグ同士のレギュラーシーズンが再開する。DHは全試合であるが、首脳陣が松井の左翼起用を否定する以上、自分が好調でいなければ、ほかの野手を休ませる手段としてDHのポジションも譲るはめになる。だから厳しく覚悟する。「これからまた、レギュラーを取る、そういう気持ちでやる。(自分に)大事な時期になる」 苦い9試合だったが、1打席への執念を醸成し、エネルギーが沸々と胸にたぎる。(小金沢智) (2009年6月30日 読売新聞)
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