(10)難敵ハラデー攻略「不動の5番」証明難敵はライバルとなった。ブルージェイズのサイ・ヤング賞右腕、ロイ・ハラデーは、150キロの高速シンカーが武器だ。「普通に打ったら絶対ゴロになる」というやっかいな球種。手元で外へ逃げながら沈むこのボールに凡打の山を築いてきたが、今季は違う。 7月4日に右中間への同点ソロ、1か月後には1点リードの九回に中越えに特大のソロを打った。ハラデーからの年間2発は初めてだ。 「ボールの軌道がある程度、イメージできている。こう動くと予測したらそこにバットを通す(持って行く)」。この実践は進化の表れだ。急速に沈むシンカーを上からたたく時、点で射抜くような打撃が打球を上げ、長打を生む。予測する変化の行方とスイングが、コンマ何秒かの世界でピタリとはまる瞬間だ。ゴロで凡退したことも無駄ではなかった。軌道は脳裏にこびり付き、ようやく今、理想的な打撃が出来つつある。 通算打率はまだ2割3分台だが、一発は脅威だ。9月15日、今季5度目の対戦で3点を追う五回二死一塁、フルカウントから相手捕手バラハスがマウンドへ走った。「今年、2発打たれてる。ロイが何を投げたいか、確認しておきたかったんだ」。結果は四球。選んだのは武器のシンカーではなく、カットボールだった。 かつて、松井への攻めについて気軽に話したハラデーは今度ばかりはピシャリと言った。「ダメだ。自分なりの意図がある。それはもう話さない」。バラハスが代わりに言う。「いろんな球種を使って、シンカーをどう生かすか考えてる」。もう楽観はできないのだ。 ハラデー攻略を象徴とするかのように、左ひざの手術明けとなった今季、後半戦は挽回(ばんかい)した。前半戦は左腕の先発でスタメン落ちするケースは目立ったが、左対左でリーグ最多の12本塁打を打っており、左を苦にしないことを証明。一時、7番に落ちた打順も、夏場からは不動の5番だ。「でも、いい状態(の打撃)が出る確率が上がったのは最近だよ」。ここまで26本塁打、86打点。まだまだ伸ばせる自負がある。(小金沢智) (2009年9月22日 読売新聞)
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