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2010 松井秀喜

(1)ひざ順調 新天地での船出

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練習終了後、ファンにサインをする松井秀喜=報知新聞提供

 昨季、ヤンキースでワールドシリーズMVPを獲得した松井秀が、米西海岸の強豪エンゼルスに移籍し、6日(日本時間)に開幕戦を迎える。度重なる故障との戦いを乗り越え、新天地で突入するメジャー8年目のシーズンで目指すものは何か。

 この春、松井秀から何度も繰り返し聞いた言葉がある。「去年より、いいですよ」。ひざの状態が良好で、念願の外野守備にも手応えを感じながら迎える開幕。移籍がもたらした恩恵は、小さくなかったようだ。

 だが、元気に外野を駆け回っていた2005年以前の心境で開幕できないことは、自覚している。「けがをする前に戻ることは出来ない」。そう割り切った今、ひざが腫れて水を抜きながらプレーし、守備を禁じられた昨年より体が動き、気持ちも高揚していることを確かめられただけで十分だ。

 目に見える一番の変化は守備についたことだが、それだけではない。本人は「少しだけ」と控えめだが、「去年よりかなり絞れている」というロイヤルズのヒルマン監督ら、昔を知る複数の関係者が指摘するほど、体は引き締まった。「シーズンでも調整は続く」。開幕時点では100%とはいかない打撃も、昨年と比べれば、「やりたいことができている」と言える状態だ。

 古巣のヤンキースを気遣ってか、家族的と言われるエンゼルスの雰囲気など、環境の違いを聞いても「そんなに変わらない」と、一貫して答えている。だが、フロリダからアリゾナに変わったキャンプ地の気候について「乾燥しているのは、自分にとってはいい」。湿気の少ない場所で患部への負担を少なく調整を続けられたことが、すべての面での下地になった。

 「海が近いのがいいですよね。僕の実家(石川県)もそうですから」。穏やかな米西海岸と、日本海の荒波が打ち寄せる北陸。表情は違うが、自身の原点である郷里を意識できる土地柄で迎える2010年シーズンは、凪となるか時化となるか。開幕前日、「1年間試合に出続けることが役割」と語ったエンゼルスの主砲が、新たな航海に挑む。(萱津節)

2010年4月6日  読売新聞)
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