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失投見逃さず

ヤンキース5―4パイレーツ

 松井の状態を推し量る時、2ストライク後の打撃が一つのバロメーターだ。本人もこんな風に言っている。「追い込まれて狙い球が絞れない状況で、いかに反応できるか。それがいい時の目安になる」

 2打席目で、カウント2―1となった。恐らく速球にタイミングを合わせつつ、すべての球種に対応したい場面。勝負球は外寄りに逃げるスライダーだったが、体を開かずにぐっと待てた。それが中堅返しにつながった。先発左腕ゴーゼラニーへの対処は悪くない。それならば――。

 2点を追う六回一死一塁の第3打席。追い込まれるまで好球必打を貫く彼が、初球の失投を見逃すはずがない。真ん中高めに来た146キロを力強くたたいた。低いライナーはそのまま右翼席へ。10試合ぶりの同点6号2ラン。予兆はあった。(ニューヨーク、小金沢智)

2007年6月9日  読売新聞)
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