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[MLB発進2008]「攻守で貢献」本物の証し

松井秀喜(33) ヤンキース

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左翼奪回がかかる松井秀。手術した右ひざは昨季後半と違い、深く曲げられるようになった(フロリダ州タンパで)=小金沢智撮影

 ポジション争いに身を置くのは、1993年の巨人1年目を除けば、初めてかもしれない。現状のチーム方針では、左翼はスピードのあるデーモン。指名打者(DH)でさえ、一塁との併用で左のジアンビ、右のダンカンらがいる。レギュラーの保証は今はない。

 昨年7月は、反攻を始めたチームの中心だった。13本塁打で月間MVP。しかし、増していく右ひざの痛みが微妙に打撃を狂わせるとともに、左翼からDHが指定席になっていった。

 守備でも貢献してこそ、自分だと思っている。野球を始めてからずっと、身に染みついた攻守のリズムもある。それでも、8月下旬以降は違った。「DHがむしろ、うれしかった。ひざが痛くて、もう走りたくなかった。際どい打球が来たら捕れない」。本音だ。このころは試合後、球場から駐車場へ歩く際、かすかに右足を引きずっていた。

 完治に向け、11月に手術をした。リハビリ、自主トレを乗り越えて、後れは取ったが、9日のツインズとのオープン戦にDHで復帰した。3打席に立ち、3打数無安打に終わったが、一塁への全力疾走を自然とこなし、完調に近づいていく手応えも得た。だから、もうしばらくで、DHはうれしくなくなってくる。

 「自分が試合に出るためには誰かをけ落とさないといけない。でも、そうはとらえたくない。みんな健康でいいパフォーマンスを出す中で、自分も出す。それでも、やっぱりアイツだと。そうならないと、本当のレギュラーじゃない」

 誰かの不振やけがで自分が頼られる。そんな事は望まない。毎年のように100打点以上挙げる打撃は今季、改めて長打にこだわるつもり。そうして機会あるごとに、派手さはないが安定した守りも見せていく。

 能力を証明しさえすれば――。そんなプライドがのぞくメジャー6年目。奪うというより、戻るつもりだ。(小金沢智)

2008年3月11日  読売新聞)
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