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ヒデキ、7年目の頂点

 【ニューヨーク=岡田卓史】松井秀がシリーズタイ記録の6打点を挙げる活躍で、ヤンキースを9年ぶりの頂点に導いた。米大リーグのワールドシリーズ第6戦は4日、ニューヨークで行われ、ヤンキースが7―3でフィリーズを下して優勝。松井秀は最優秀選手(MVP)を獲得し、自身初のワールドシリーズ制覇に花を添えた。フィリーズは2連覇を逃した。

 ヤンキースは二回に松井秀の2ランで先制。三回に1点を返されたが、その裏、またも松井秀が2点適時打を中前に運んだ。さらに五回も松井秀の2点二塁打などで3点を追加した。フィリーズは六回にハワードの2ランで追い上げたが及ばなかった。

6打点、最多タイ

ヤンキース7―3フィリーズ

 二回無死一塁。松井秀は219勝投手マルティネスからフルカウントまで粘り、真ん中に入った速球を力強くたたいた。滞空時間の長い大飛球は、そのまま右翼2階席へ。特大先制2ランに、ベンチとスタンドは興奮のるつぼと化した。

 静かに燃えていた。本拠地に移った第6戦から指名打者(DH)制が戻り、4試合ぶりの先発を手にした。「(気持ちは)変わらない」と表向き語るが本当は少し違う。

 6月の交流戦はDHがなく、9試合連続で先発落ちした。「1日、4打席あるってありがたい。1打席を本当に大事にしないと」と痛感した。待ちに待ったこの大舞台なら、なおのこと。試合前の打撃練習は自分の番を待つ間に、打撃ケージの横で、強めの素振りを繰り返した。気合を表に出すめったに見せない姿だ。

 第2戦で決勝弾を浴びせた右腕は打たれたカーブを捨て、速球系を多投した。「どう攻められるか分からないが、いつも通りのアプローチで行く」。深読みはせず、勝負を自分の世界に引き込もうとした松井に凄(すご)みがあった。2球で追い込まれてから粘り、8球目に失投を引き出した。1点返された三回二死満塁では、カウント2―0から外角高めのつり球を中前へ2点打。五回は救援投手から2点二塁打を打った。

 7年間待ったワールドチャンピオン。シリーズ記録に並ぶ1試合6打点を3打席でたたき出し、自らもぎ取った。(ニューヨーク、小金沢智)

2009年11月5日  読売新聞)
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